丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
凱吾・住江「………」

鈴嶺「あれ?もしかして、もうランチ済んだ?」

凱吾「ううん」
住江「あの、急にどうされたんですか?」

鈴嶺「杏ちゃんにお料理特訓してもらったの!
でね!
美味しくできるようになったから、凱くんに食べてほしくて!」

凱吾「うん、ありがとう!
でも、なんで住江まで?」

鈴嶺「住江さんにもお世話になってるから!」

凱吾「そうか」

鈴嶺「ダメだったかな?
だったら、住江さんのは持って帰る!
ごめんね…住江さん」

住江「あ、いえ!
でも、せっかくですから頂いても?
凱吾様も、よろしいですか?」

凱吾「………勝手にしろ」

住江「はい。
鈴嶺様、有りがたく頂きますね!
ありがとうございます!」

鈴嶺「うん、良かった!
…………凱くん…怒ってる?」
住江に微笑み、凱吾の顔を窺う。

凱吾「ううん!怒ってないよ?
鈴嶺、ありがとう!
早速、食べるね!」
微笑む凱吾に、鈴嶺もホッと肩を撫で下ろした。


住江「━━━━わぁー、美味しそうですね!」
早速、副社長室で食べようとしている凱吾と住江。

凱吾「あぁ。
…………それより住江、どうして遠慮しなかった?」

住江「はい?」

凱吾「鈴嶺の料理を食べられるのは、僕だけなのに」

住江「もしお断りしたら、鈴嶺様を傷つけると思ったからですよ」

凱吾「は?」

住江「“持って帰る”とおっしゃった時、とても悲しそうでしたので」

凱吾「………
とにかく、貰ったからには完食しろよ?
鈴嶺の気持ちがこもってるんだから!」

住江「はい。もちろんです!」


凱吾「━━━━ん!」
住江「美味しい!」

凱吾「ほんとだ…美味しい……
これは、旨いな……!」
感心したように口に入れていく。

そして、凱吾の方には手紙が入っているのに気づく。

【凱くんへ
お弁当、どうだったかな?
今回は、自信があるの!
帰ったら、感想聞かせてね!(本音で)
いつも、美味しくないお食事ばかりでごめんね。
凱くんに無理をさせてることわかってたんだけど、なかなか上手く出来なくて……
今日からは大丈夫だと思うから、美味しいお食事を作って待ってるね!
鈴嶺】

凱吾「鈴嶺…
そんなの、気にしなくていいのに……」

確かに、美味しいとは言えない鈴嶺の料理。
しかし鈴嶺の愛情がしっかり入っていて、凱吾からすればどんな料理でも、美味なのだ。
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