丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
佐木「だったら、私の所に来ますか?
次の部屋が決まるまで」

住江「え?」

佐木「部屋、空いてるので。
住江さんが気にされないなら、私は構いませんよ」

住江「いいんですか!?」

佐木「はい」

住江「じゃあ…お言葉に甘えて!
ご迷惑かけます!」


後日。
住江は、佐木の家に引っ越した。

佐木「こちらの部屋は、好きに使ってください。
あちらがお手洗い、向こうがお風呂場です」

住江「ほんと、すみません!」

佐木「いえ。
何かわからないことがあれば、何でも聞いてください!」

住江「はい!
…………あ、あの。それにしても、綺麗にされてるんですね……!」
部屋内を見渡し、感心したように言う。

佐木「え?そうですか?」

住江「はい。無駄なものも一切ないし、整理整頓もしっかりされてるし……」

佐木「うーん…私は、鈴嶺お嬢様と凱吾様のために生きているようなものなので……
趣味も特にありませんし、寂しい男ですよ(笑)」

住江「それにしても、家の中でもスーツ姿なんですか?」

佐木「あー(笑)そうですね(笑)
でもこれでも前は、鈴嶺お嬢様が用がない日は、スウェットとかジーパンとか、ラフな格好だったんです。
でも最近のお嬢様は、突然お一人でお外に出ようとされますので、すぐに対応できるように常にスーツ着るようにしたんです」

住江「あー、そうゆうことか!」

佐木「凱吾様は、必ず私にどこに行くにも連絡してくださるのでいいんですが、お嬢様は私に気を遣ってこそっと出ていこうとされますので……」

住江「なるほど……(笑)」


そんな話をしていると、佐木のスマホからアラーム音が鳴り響いた。

佐木「━━━━!!!?」
佐木の表情が険しくなり、スマホを確認する。
そして電話をかけた。

佐木「━━━━お嬢様!!また、お一人で出ようとされてますね!?
今日はどのようなご用で?
………はい、はい。
………でしたら、私が買ってお届けします。
お家にお帰りください!
はい、わかりました。
お醤油と◯◯のチョコレートですね!
わかりました、ちゃんとお家で待っててくださいね。
…………ったく…」

住江「佐木さん?」

佐木「あ!すみません!」

住江「あの…どうしてわかったんですか?
鈴嶺様が出ていこうとされてるの」

佐木「………
他言しないで頂きたいのですが、約束していただけますか?」

住江「はい」


佐木「お嬢様には、GPSがついています。
何についてるかは内緒ですが、このマンションを出ると私に連絡が行くようになってるんです」
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