丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
住江は、思わず言葉を失った。

住江「それは……凱吾様が?」
佐木「はい。
スマホにも、かなりのアプリが仕込まれています。
全て、凱吾様がされたことです」

住江「………」

佐木「……退きますよね?」

住江「そう…ですね……」

佐木「私も、凱吾様に“やり過ぎ”だと散々お話しました。
“私が、責任をもってお嬢様をお守りする”と。
しかし、聞く耳を持ってくれなくて……
あの方は、ご自身しか信用されてないから」

住江「そうですね…
“ある意味”鈴嶺様のことも信用していない」

佐木「はい」

住江「あの…この事、鈴嶺様はどのように納得されてるんですか?」

佐木「お嬢様は、全く気づいてません。
世間知らずな方な上に、凱吾様を全面的に信頼されてますから……
きっと……“どうして、わかるんだろう?”位にしか思っていらっしゃらないかと。
私のことも、エスパーだと思ってます(笑)本気で」

住江「そう…ですか…
…………ほんと…恐ろしい方ですね…凱吾様は」


それから一週間経った。

佐木と一週間過ごして、住江は驚かされてばかりだ。
佐木には、気が抜けることがない。

常にスーツを着て、スマホは胸ポケットに入っている。(トイレや風呂にも持っていく)

ソファで寛いでいるように見えても、何の前触れもなく凱吾からの連絡で呼び出される。

鈴嶺が佐木に知らせずに出ても、佐木が知ることになるので、結局出ていく羽目になる。

そして今も━━━━━━

夕食中の佐木と住江。

佐木のスマホが鳴る。
佐木「━━━━━はい、凱吾様。
…………はい、はい。
………わかりました。では、10分後に。
━━━━住江さん、出てきますね」

住江「は、はい…気をつけて……」

佐木が出ていき、食べかけの皿にラップをして冷蔵庫に入れた住江。

住江「はぁぁ…」
何故か、ため息が出た。


住江「佐木さん自身の意思は、どこにあるんだよ………?」


そう呟いて住江は、風呂に入ろうと風呂場に向かった。



次の日━━━━━━━

住江「凱吾様」
凱吾「何だ?」

住江「少し、僕の話を聞いて頂きたいのですが……」

凱吾「だから、何?」

住江「佐木さんのことです」

凱吾「佐木?」


住江「佐木さんに、ちゃんとした休みを与えてあげることは出来ないでしょうか?」
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