丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
しかし━━━━━━━

昼から飲める居酒屋があり、そこで二人で飲んでいる。
佐木は酒を飲みながらも、スマホばかり気にしていた。

“今日は佐木に連絡しない”と言っていた凱吾。

今日凱吾から連絡が来ることは、ほぼないに等しいだろう。
きっと、佐木の存在など頭の中にはないくらい、鈴嶺に夢中なはず。

凱吾の性格上、それは佐木もわかっているはずだ。

なのに、そわそわしていてスマホをチラチラ見ているのだ。


住江「━━━━━佐木さんは、凱吾様と鈴嶺様に囚われてますね(笑)」

佐木「え?」

住江「一般の人達は、自分のことは自分でします。
凱吾様や鈴嶺様だって、立派な大人。
出来ないことなんてないんですよ?
二人で出掛けたからって、危ないなんてことはない。
佐木さんは、二人に過保護すぎます!」

酒が入っているのもあり、住江は思っていたことをそのまま口にする。

佐木「そうですね」

住江「佐木さんは“自分のために”生きることを覚えた方がいい!」

佐木「自分のため…」

住江「佐木さんは、何をしてる時が幸せですか?」

佐木「え?」

住江「僕は、寝てる時が一番幸せです!
佐木さんにもあるでしょ?
“あー、こうしてると幸せ~”ってこと」

佐木「………幸せ…」

住江「はい。幸せ」

佐木「お嬢様のお傍にいる時が、一番幸せです」

住江「…………え?」

佐木「もっと言えば、お嬢様が私を頼ってくれる時です」

住江「………」
まさかの返答に、住江は言葉に詰まる。

佐木「お嬢様は、私にとって命よりも大切な方。
あの方の傍にいることが、私の幸せです」

住江「鈴嶺様のことが、一人の女として好きなんですか?」

佐木「そうですね。そうゆうことになりますかね。
しかし、あまりそんな風に考えたことがないのでわかりませんが……
私はただ…お嬢様には常に、自分の目の届く所にいていただきたいんです。
いつでもお守りできるように。
お嬢様が何処にいるかわからないのは、私の精神衛生上よくありません。
私の世界の中心は“お嬢様”です。
私は、お嬢様のお傍にいられることがこの世の何よりも幸せです!」

住江「………」
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