丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
宗匠「凱吾」

凱吾「何?」

宗匠「雰囲気、悪くなるようなことすんなよ」

凱吾「は?
ここの店員が悪いんだ」

宗匠「確かに!お前の言ってることは正しい。
…………でも、適切な態度じゃない。
その場に合った、それこそ臨機応変の態度をすることが正しいことなんじゃねぇの?」

凱吾「は?」

宗匠「凱吾は、こえーんだからさ。
言い方気ぃ付けろ」

凱吾「元々から僕は、こんなだ」

紀信「でも、鈴嶺には優しいでしょ?」

凱吾「鈴嶺は特別だ。
僕は、鈴嶺にしか心が動かないんだから!」

宗匠「確かに、鈴には別人みたいだもんなぁー凱吾」
紀信「凱吾って、鈴嶺に怒ったことあるの?」

凱吾「怒る?
…………そうだな…怒ることはないな。
叱ることはあるが」

宗匠「へぇー!どんなことで?」
紀信「気になる」

凱吾「鈴嶺って、世間知らずでお人好しで、誰にでも優しいだろ?」
宗匠「そうだな」
紀信「うん」

凱吾「だから、街でも簡単についていこうとするんだ」

宗匠「は?」
紀信「ついていくって?」

凱吾「この前も、ウチの社員と気づいたらベンチでコーヒー飲んでたんだから」

宗匠・紀信「え?」

凱吾「びっくりだろ?」

宗匠「あいつ……ほんとバカだよな…(笑)」
紀信「確かに、警戒心なさすぎかも…」

凱吾「だろ?
社員に上手く言いくるめられたみたいだったが、それにしても仲良くコーヒーって……」

宗匠「大変だな(笑)鈴の旦那ってのは……」
紀信「たぶん……凱吾の会社の社員だし、良いと思ったんだろうね…(笑)」

凱吾「あぁ。そう言ってた。
“暇潰しに一緒に待ってくれたの~”って言ってた」

宗匠・紀信「………」

凱吾「だから、しっかり説教しといた。
それでも鈴嶺は、あの社員さんは悪いことはしないって言い張ってたけど」

宗匠「どんな自信だよ!(笑)」
紀信「鈴嶺らしいね(笑)
中学ん時も明らかに怪しいのに、連れてかれるまで全く気づかずに信用してたもんね……」

宗匠「あー!あったなぁー、そんなこと!
杏樹と実和、心配を通り越してかなり呆れてたもんなぁー(笑)」
凱吾「学校の近くにいた男だろ?いつも犬の散歩で通ってた」

紀信「うん。
鈴嶺、言い張ってたでしょ?」

凱吾・宗匠・紀信「“あのおじ様が、悪い人なわけない”」

三人の声が、綺麗にハモった。
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