丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
雷太・束茶「えー!!!?」
(ま、マジかよ……)

目の前にいる恐ろしい悪魔と、あの可愛い姫君。
信じられない思いで、雷太と束茶は凱吾を見ていた。


そんな時だった。

ガッシャーーーン!!!!と、店内に皿が割れる音が響いた。

紀信「ん?なんだろ?」

よく見ると、凱吾達の後ろの席で男二人が喧嘩をしていた。
「━━━━はぁ!!?もういっぺん言ってみろよ!?」
「あぁ、何度でも言ってやるよ!!!」

かなり激しくて、男達のテーブルの上はぐちゃぐちゃだ。

店員や店長も必死に止める。

しかし男達は、酒がかなり入っている上に怒りで周りが見えていない。

束茶「………俺、ちょっと言ってくるわ」
雷太「おい、束茶!やめとけ!」
宗匠「そうだぞ。変に手を出すのは良くねぇよ」
紀信「そうだよ!」

他の客もそわそわする中━━━━
凱吾一人だけ、マイペースに酒を飲んでいた。

束茶「でもよ。店長、弱そうだし困ってんじゃん」


束茶が男達のとこへ行き、落ち着くように促す。
束茶「おい、他の客が迷惑してる。やるなら、外でやれよ!」

「あぁ!!?なんだよ、お前」

束茶「何でもいいだろ?ここ、店なんだからさ。
お前等の家じゃねぇんだわ。
やめとけよ」

「は?うるせぇよ!」
束茶の胸ぐらを掴む。
しかし、束茶は抵抗せずに男を見据える。

「うぜーんだよ!!」
そのまま後ろに突き飛ばされた。

そして束茶は、突き飛ばされた拍子に凱吾にぶつかる。
凱吾「………」

束茶「……ってぇ…凱吾、わりぃ…」

すると、凱吾が声を張り上げ言った。
凱吾「店長は?何処にいる?」

「あ、は、はい!僕です!」

凱吾「早く、そこのクズ二人をつまみ出せ。
これは、立派な営業妨害だろ?
警察でもなんでも呼んで、早く処理しろ!」

「はい、すみません!」

凱吾「あと、プリンを持ってこい。
早くここを出たい」

「あ、はい!」

凱吾「宗匠、僕帰るから。気分が悪い」

宗匠「そうだな。俺達も、出るか」
紀信「そうだね」
雷太「束茶も、出ようぜ!」
束茶「あ、あぁ」

店内が、ピンと張り詰めたように静まり返っている。

あんなに賑やかだった店内。
それが凱吾一人のとてつもない恐ろしい雰囲気で、闇の中のように落ちていた。
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