丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
シンと静まり返った店内。

そこに、ガラガラ…と入口の引戸が開いた。

「い、いらっしゃいませ……!」

女性と男性が、来店してきた。


鈴嶺「すみません。こちらにいるお客様の中の連れなんですが……」

鈴嶺と佐木だ。

「あ、は、はい!」

佐木「中に入ってもよろしいですか?」

「ど、どうぞ?」

佐木「……??
あの、どうされたんですか?」

「え?」

佐木「なんか、雰囲気が……」
鈴嶺「ご気分でも悪いとか?」

「いえいえ…」

店長に促され、中に入る二人。


鈴嶺「凱くん達、どこかな?」
佐木「きっと目立つから、すぐ見つけられますよ!(笑)」
鈴嶺「フフ…そうだね!」

佐木「でも、なんか…」
鈴嶺「ん?」

佐木(明らかに雰囲気が悪い。なんだ?この冷ややかな店は。
ほんとにこんな雰囲気が悪い店に、凱吾様達がいるのか?)

鈴嶺は何も感じていないが、佐木はおかしいと思っていた。

鈴嶺「あ!いた!
凱くーん!」
パタパタ……と凱吾達の席に向かう、鈴嶺。

佐木「………」

佐木は、一瞬で察知した。

ここに、お嬢様を連れてきてはダメだ━━━━と。

佐木「お嬢様!!」
鈴嶺「へ?」

佐木「やはり、車で待ってましょう!」

鈴嶺「え?どうして?
やだ!私も、凱くん達とお食事━━━━━」

そこにガッシャーーーン!!!と、皿やグラスが割れる音がして、男が凱吾に掴みかかっていた。

鈴嶺「え━━━━」
佐木「お嬢様!!?危ない!!こちらへ!!」


凱吾「離せ、クズ」

凱吾はいたって普通に、見据えていた。
しかし、凄まじく恐ろしく落ちていた。

宗匠「おい、離せよ。お前じゃ凱吾には敵わねぇ」
紀信「やめてください!ここ、お店の中ですよ!?」
雷太「そうだぞ!わかるだろ?」
束茶「この、凱吾の雰囲気!」

「あ?
ガキが生意気な━━━━」

鈴嶺「やめてください!!!」

凱吾達「え………」

凱吾・紀信「鈴嶺!!?」
宗匠「鈴、お前…なんで!?」
雷太「え……!?」
束茶「鈴嶺…ちゃん…?」

苦しそうに瞳を揺らした鈴嶺が立っていた。

宗匠「鈴!!こっち来んな!!向こう行け!!」

鈴嶺「嫌!!凱くんが!!」

紀信「鈴嶺!でも危ないから!」

鈴嶺「で、でも……」


その瞬間━━━━━━━

「ぐわっ!!?」
男の声が響き、凱吾によって手を捻られた。
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