丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
鈴嶺が杏樹達と行ってしまい、凱吾は切なく顔を歪め鈴嶺が見えなくなるまで見つめていた。

宗匠「凱吾、行くぞ」



「━━━━━━でもさ!世も末だな」

宗匠「ん?」

凱吾が“何かあったら、すぐに駆けつけられるとこがいい”と言った為、女性達が向かったカフェの近くの居酒屋に行った男性一行。
同級生の一人が、言った。

「凱吾と鈴嶺ちゃん。
……………正直、あり得ねぇ!」
「どうやって、手に入れたんだよ!?」

「中学の時は鈴嶺ちゃん、基本的には杏樹と一緒にいて、凱吾よりも宗匠にくっついてただろ?」
「しかも鈴嶺ちゃん、高校は女子高だったし」
「そうそう!俺、鈴嶺ちゃんと同じ高校に行こうと思ってたのに、女子高って聞いて落ち込んだの覚えてるもん!」

凱吾「━━━━━鈴嶺の高校に、ほぼ毎日通った」

紀信「そうなんだ……」
凱吾「もし…」

「ん?」

凱吾「もし紀信が僕と同じように、鈴嶺の高校に通ってたら……
何か違ってたかも?」

紀信「え?」

凱吾「紀信がさ。
医者になる為にって、全寮制の高校・大学行っただろ?
内心、スッゴく安心してたんだ、僕」

紀信「え?え?そうなの?」

凱吾「鈴嶺、最初は“紀信くん、元気かな?”ってよく言ってたんだ。
僕、嫉妬なんてしたことなかったのに、初めて嫉妬したんだから!」

宗匠「フフ…
鈴は、自覚なかったみたいだが……
たぶん、紀信のこと好きだったんだと思うぞ」

紀信「え………う、嘘……」

凱吾「今さらだけど」
宗匠「まぁ、今さらだな(笑)」

紀信「そうだよ!!
もう!聞きたくなかったよ、そんなのーー!」

苦笑いをして酒を飲み干す紀信に、みんなが笑うのだった。


「凱吾、おかわりは?
同じのでいい?」
凱吾「もう、烏龍茶にしておく」

宗匠「は?
飲まねぇの?」
紀信「凱吾は、まだまだいけるでしょ?」

凱吾「あんま飲むと、鈴嶺に何かあった時助けられない」

宗匠「相変わらずだな(笑)」
紀信「そうだね(笑)」

「凱吾、ベタ惚れだな(笑)」
「鈴嶺ちゃんも大変だな(笑)
こんな惚れられて……!」

凱吾「何をいってる?
好きになったのは僕からだけど、僕と付き合いたいって言ったのは鈴嶺だ。
鈴嶺が僕を欲したんだから、大変なわけがない」

「「「━━━━━え……?」」」

紀信「え?待って!告白したの、どっちだったの?」
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