丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
後日。
カナがモトミと食事をしていた時━━━━━

モトミ「見て、カナ」
カナ「ん?
━━━━━━え………!?」

モトミ「実はこの前、鈴嶺の家に行った時にスマホを置いて帰ったの」

カナ「ちょっ…モトミ!!こんなの……」

モトミ「わかってる。
最低なことって。
でも、見たらちゃんと消すし、もちろんアップするつもりもない。
ただ……忘れられなくて……凱吾くんのこと」

カナ「モトミ……」

モトミにとって凱吾は、初恋の人。
それからもずっと、思い続けていた。

モトミ「凱吾くんと鈴嶺のラブラブなのを見たら、吹っ切れそうなの」


そしてモトミは、録画していた動画を再生した━━━━━



杏樹、カナ、モトミを玄関で見送った鈴嶺がリビングに戻ってきた。

食器などを片付け始める。
洗い終えると、ソファに戻ってボーッとし始めた。

段々、鈴嶺の頭がカクカクと落ちてきた。
そして、そのまま眠ってしまった。

早送りをして、鈴嶺が目を覚ます。
キッチンに向かい、今度は夕食の準備をし始めた。

モトミが設置した位置からは、あまりよく見えず声だけ聞こえてくる。

鈴嶺『ひゃっ!?崩れたぁー
━━━━━よし、こっちは上手く出来た!
━━━━━ん!スープも美味しくできた!』

一通り作り終えたのか、ソファに戻ってきた鈴嶺は、スマホを操作し始めた。

鈴嶺『まだかな~?
早く帰ってこないかな~?』


カナ「フフ…なんか、可愛い!」
モトミ「………」


すると、着信が入る。
鈴嶺「はっ!!
━━━━━━もしもし!?凱くん!?
うん、うん!わかった!
気をつけてね!
━━━━━ん?今日はね……オムライスだよ!
フフ…うん!私も!」

通話を切って、キッチンに向かう鈴嶺。

20分程して、凱吾が帰ってきた。
「ただいまー」と声が聞こえてくる。

鈴嶺が嬉しそうに玄関に向かう。
そして、凱吾と戻ってきた。

凱吾『わぁー、美味しそうだね!』
鈴嶺『ほんと!?』

凱吾『うん!美味しそう!
でも、あれ?鈴嶺の方、崩れてるよ?』

鈴嶺『あ、うん…崩れちゃって……』
シュンと落ち込む鈴嶺の頭を優しく撫でる、凱吾。


カナ・モトミ「………」

カナとモトミは、凱吾の全てに驚愕していた。
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