丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
モトミ「………」

モトミは、放心状態になっていた。


バレている。
凱吾くんに。

どうしよう。
どうしよう。
どうし━━━━━━━━


そこに、画面の中で凱吾が一人で戻ってきた。

モトミ「え……」

真っ直ぐ、モトミのスマホの方に来る。
そして、カメラ目線で言い放った。


凱吾『おい、よく聞けよ?
これは、立派な犯罪だから。
この動画は、僕も証拠として保管しておく。
覚えてろよ。
地獄に落としてやるからな』


モトミ「━━━━━」
モトミは、血の気が引いていた。

そしてモトミは、恐怖に怯える日々を過ごすことになってしまった。

勤めていた会社は、突然依願退職を命じられてしまう。
そして、再就職先も見つからない。

住んでいる家賃も払えなくなり実家に帰ろうとしたが、盗撮のことを両親が知っていて絶縁された。

凱吾に裏で手を回されていることは、明白だった。


ちょっとした、好奇心だった━━━━━━━

凱吾を忘れられなくて、ほんとにふっ切るためにしたことだ。

それがとんでもない事態を起こしてしまった。

自業自得だ。
それは、わかっている。

でも、このままでは生きていくことすら出来なくなる。

モトミは自身のスマホを持ち、警察に出頭した。



カナ「━━━━━モトミ、警察に捕まったらしいの」

杏樹「は?
な、何したの!!?」
鈴嶺「ど、どうゆうこと!?」

カナ「詳しいことはわかんない。
でももしかしたら……」

鈴嶺・杏樹「何?」

カナが鈴嶺を見つめる。

鈴嶺「ん?カナちゃん?」

カナ「う、ううん!」

カナは言えなかった。
鈴嶺に軽蔑されたくなかったからだ。

結局自分も、モトミがしたことを容認して、一緒になって楽しんだのだから。

カナ「鈴嶺、ごめんね……」

鈴嶺「え?どうして謝るの?」

カナ「ううん……」

鈴嶺「え?え?カナちゃん?」


カナは謝るばかりで、結局鈴嶺と杏樹は何もわからないままに終わった。




カナは思う。

やっぱ鈴嶺は、私達一般人には手が届かない人なんだ、と。

執事をいつも傍につけ、更に凱吾にも守られている。

モトミのことも、きっと凱吾が裏で手を回したのだろう。
なんとなく、そんな気がした。

カナはもう、鈴嶺と杏樹に会うのはやめようと心に誓う。

自分のためにも、鈴嶺のためにも会わない方がいい。

一つの過ちが、身を滅ぼすのだから。
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