仮面夫婦とは言わせない――エリート旦那様は契約外の溺愛を注ぐ
若菜に荷物もろとも送ってもらい帰宅し、まず私はその八田史彰という人について調べることにした。

「ああ、見たことある。この人」

ネットで調べてすぐに顔が出てきた。確かに雑誌かテレビのCMか何かで見た気がする。
八田史彰、三十一歳。安治野弁護士事務所勤務。
身長185センチ、学生時代はアメリカンフットボール部に所属。

「確かにこれはいい男だわ~」

いくつも上がってくる写真はどれも惚れ惚れするようなイケメンだ。
色素が薄いようで、茶色がかった髪に、薄茶の瞳、目鼻立ちは神様が配置したとしか思えないバランス。少しだけたれ目でそれがまたセクシーにも見える。
身体付きは細マッチョといった雰囲気。アメフト経験者だというし、ポジションにもよるだろうけれど、脱げばもっとすごい身体をしているのかもしれない。

「しっかし、遊んでそうね。大丈夫かな」

この八田史彰という男性、見れば見るほど超色男に見えるのだ。女性に言い寄られまくって困っているような男性には見えない。どちらかといえば、女性を渡り歩いていそうな男性だ。
こんな人が私と会いたいというのは、本気なのだろうか。

正直に言えば、それなりに資産はある。動画配信者の生活ぶりは登録者や再生数からも推し量ることができるだろう。もしかして、私の資金的な部分に魅力を感じているとか?
いや、相手は弁護士だ。お金に困るような職業には思えない。
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