仮面夫婦とは言わせない――エリート旦那様は契約外の溺愛を注ぐ
「……と、いうわけなのよ」
本日の動画撮影も終わり、私は若菜と休憩をしている。
若菜は出来上がったミートローフの味見をしながらうんうんと頷いた。
「良縁でなにより」
実際、良縁だったと思う。世間も家族もお祝いムードで、私の投稿動画も盛り上がっているし、新しい雑誌の仕事も入った。
動画では祝福の声にまじって『仮面夫婦乙』とか『どうせすぐ離婚』なんて嫌なメッセージも入っていたけれど、気にしない気にしない。
「若菜とご主人には感謝してる。私と史彰、利害が完璧に一致してるから、生活がすごく楽よ」
「まあ、最初のうちはそうでしょうよ」
なんとなく含みのある言い方だった。日頃からクールで遠慮のない物言いをする若菜だから、こういう言い方に敵意があるわけではないけれど。
「若菜、何かあった?」
「あー、なんか感じ悪かったね。夕子たちの話じゃなくて、うちの話。実は、不妊治療やってんだ」
そういえば最近、以前より忙しい様子は見せていた。用事があって私の手伝いができなかったり、早く帰ったり。それが不妊治療だったとは思わなかった。
本日の動画撮影も終わり、私は若菜と休憩をしている。
若菜は出来上がったミートローフの味見をしながらうんうんと頷いた。
「良縁でなにより」
実際、良縁だったと思う。世間も家族もお祝いムードで、私の投稿動画も盛り上がっているし、新しい雑誌の仕事も入った。
動画では祝福の声にまじって『仮面夫婦乙』とか『どうせすぐ離婚』なんて嫌なメッセージも入っていたけれど、気にしない気にしない。
「若菜とご主人には感謝してる。私と史彰、利害が完璧に一致してるから、生活がすごく楽よ」
「まあ、最初のうちはそうでしょうよ」
なんとなく含みのある言い方だった。日頃からクールで遠慮のない物言いをする若菜だから、こういう言い方に敵意があるわけではないけれど。
「若菜、何かあった?」
「あー、なんか感じ悪かったね。夕子たちの話じゃなくて、うちの話。実は、不妊治療やってんだ」
そういえば最近、以前より忙しい様子は見せていた。用事があって私の手伝いができなかったり、早く帰ったり。それが不妊治療だったとは思わなかった。