仮面夫婦とは言わせない――エリート旦那様は契約外の溺愛を注ぐ
私はにこりと笑った。
「本題ですか?」
「ええ、今日は奥様にお話しておこうかと思いまして。私と八田先生、長くお付き合いしてるんです。それなのに、あなたと結婚なんて、私弄ばれて裏切られてしまったみたいで。今も都合のいいときだけ呼び出されるんですよぉ、昨晩みたいに」
彼女は立て板に水といった様子ではきはきと嘘八百を並べだす。思ったより、悪意は強いようだ。
「昨晩も夫と?」
「ええ、ハイローのみんなでごはんの後、誘われちゃって。私もまだ彼に想いがあるから断り切れなかったんですけど、奥様に悪くて……」
そう言って彼女はメッセージアプリの画面を見せてくる。史彰との会話画面だ。
【今日、いつものホテルに行こうよ】
【奥さんはいいの?】
【花梨の方が好きだから】
そんなメッセージ。だけど、私は知っている。この画面はアプリがあればいくらでも捏造できるって。
「後藤さんは、私の夫である八田史彰と過去交際関係にあり、今だに続いているとおっしゃるんですね」
「ええ、以前も週刊誌に撮られてしまって。あのときにもうやめようって言ったんですけど、彼、よほど私に執着があるみたいでぇ」
これ以上スマホ画面を見せてぼろを出したくないのか、彼女はささっとスマホをしまう。
私は逆にスマホを取り出した。
「音声アプリで昨日録音されたものです」
日付画面を見せ、再生を押してテーブルに置く。
酒宴の雑音に交じって、後藤アナの声が聞こえだした。昨日、史彰が聞かせてくれ、私に証拠だからと送ってくれた音声だ。
後藤アナの顔色が変わった。
「本題ですか?」
「ええ、今日は奥様にお話しておこうかと思いまして。私と八田先生、長くお付き合いしてるんです。それなのに、あなたと結婚なんて、私弄ばれて裏切られてしまったみたいで。今も都合のいいときだけ呼び出されるんですよぉ、昨晩みたいに」
彼女は立て板に水といった様子ではきはきと嘘八百を並べだす。思ったより、悪意は強いようだ。
「昨晩も夫と?」
「ええ、ハイローのみんなでごはんの後、誘われちゃって。私もまだ彼に想いがあるから断り切れなかったんですけど、奥様に悪くて……」
そう言って彼女はメッセージアプリの画面を見せてくる。史彰との会話画面だ。
【今日、いつものホテルに行こうよ】
【奥さんはいいの?】
【花梨の方が好きだから】
そんなメッセージ。だけど、私は知っている。この画面はアプリがあればいくらでも捏造できるって。
「後藤さんは、私の夫である八田史彰と過去交際関係にあり、今だに続いているとおっしゃるんですね」
「ええ、以前も週刊誌に撮られてしまって。あのときにもうやめようって言ったんですけど、彼、よほど私に執着があるみたいでぇ」
これ以上スマホ画面を見せてぼろを出したくないのか、彼女はささっとスマホをしまう。
私は逆にスマホを取り出した。
「音声アプリで昨日録音されたものです」
日付画面を見せ、再生を押してテーブルに置く。
酒宴の雑音に交じって、後藤アナの声が聞こえだした。昨日、史彰が聞かせてくれ、私に証拠だからと送ってくれた音声だ。
後藤アナの顔色が変わった。