仮面夫婦とは言わせない――エリート旦那様は契約外の溺愛を注ぐ
若菜が帰宅すると、私は予定通りスポンジケーキ作りを始めた。
撮影も兼ねているけれど、今回はほとんど手元しか映さない。編集でいくつかの工程は早回しにする。
没頭して調理と撮影を終え、デコレーションしたケーキを冷蔵庫にしまう。
それから夕食を考えた。デザートにボリュームがありお砂糖がたっぷりなので、甘めな味付けはやめよう。ブラウンシチューを作り、史彰が食べたがるだろうからとごはんも炊いた。私はケーキがあるのでシチューとサラダのみにしておこう。
すべての準備が整うと、史彰が帰宅してきた。
「早かったね」
玄関まで迎えに出て、彼が手に花束を持っているのに気づいた。史彰はどこか緊張の面持ちでその真っ赤な薔薇の花束を私に向かって差し出した。
「これ」
「お土産? あら、誰からもらったの?」
「きみへのプレゼント」
私はその花束を、彼が誰かからもらったものだと思っていた。私へのプレゼントらしい。
「急にどうしたの?」
「今日で、きみと出会って半年だから……。こんなこといちいち覚えていて、俺って女々しいな」
恥ずかしそうにうつむく史彰に、私はいっきに顔に熱がのぼるのを感じた。言われてみればそうだ。半年前、彼と初めて出会ってその日に結婚を決めて、二ヶ月ちょっとで結婚して……。
撮影も兼ねているけれど、今回はほとんど手元しか映さない。編集でいくつかの工程は早回しにする。
没頭して調理と撮影を終え、デコレーションしたケーキを冷蔵庫にしまう。
それから夕食を考えた。デザートにボリュームがありお砂糖がたっぷりなので、甘めな味付けはやめよう。ブラウンシチューを作り、史彰が食べたがるだろうからとごはんも炊いた。私はケーキがあるのでシチューとサラダのみにしておこう。
すべての準備が整うと、史彰が帰宅してきた。
「早かったね」
玄関まで迎えに出て、彼が手に花束を持っているのに気づいた。史彰はどこか緊張の面持ちでその真っ赤な薔薇の花束を私に向かって差し出した。
「これ」
「お土産? あら、誰からもらったの?」
「きみへのプレゼント」
私はその花束を、彼が誰かからもらったものだと思っていた。私へのプレゼントらしい。
「急にどうしたの?」
「今日で、きみと出会って半年だから……。こんなこといちいち覚えていて、俺って女々しいな」
恥ずかしそうにうつむく史彰に、私はいっきに顔に熱がのぼるのを感じた。言われてみればそうだ。半年前、彼と初めて出会ってその日に結婚を決めて、二ヶ月ちょっとで結婚して……。