本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜
翌日も由麻は愛美の病室を訪れていた。
と言うのも、愛美は早速二人の距離を近付けようと画策していたのだ。
仕事は今日は遅番のため、特に急ぐ必要もない。
「あ。こんにちは。昨日振りですね」
「由麻さん。こんにちは」
「さん付けなんてやめてください。それに敬語も。私大分歳下ですから」
「そう?んー……じゃあ由麻ちゃんで」
「はい。和音さん」
「由麻ちゃんも敬語じゃなくて良いよ?」
「……いえ、そういうわけには」
もちろん和音も病室に呼ばれていて、一日振りに顔を合わせた二人は会ったのが二回目とは思えない程に打ち解けていた。
「これ、愛美から聞きました。和音さん、うちの苺大福を好きって言ってくれてたって」
和音に差し出したのは、【茅】の看板商品の苺大福。
北海道産の餅米と小豆を使った大福にその時一番の旬の大きな苺を入れた、拘りの逸品だ。
「え、いいの?ありがとう!」
「どうぞ」
愛美にも渡すと、二人で早速包みを開いて食べ始めた。
口の周りに大福の表面の粉が付いて、二人とも面白い顔になっている。
それでも大福の甘さに幸せそうに笑ってくれる二人に、由麻も嬉しくなった。