本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜
『そっか。やっぱり大変なんだね』
「お医者さん程ではないですよ。愛美が言ってました。翔さんもしょっちゅう呼び出されるからまともにデートも出来ないって」
『ははっ、仕方ないよ。彼は一流のドクターだからね。彼の手術を待っている人がごまんといるはずだ』
「和音さんも一流のドクターでしょう?」
『俺はどうだろう。普通じゃないかな?』
そうやって謙遜するけれど、和音がアメリカで沢山の難しい手術を成功させてきたのだと愛美が言っていた。
紛れもなくそれは一流の証だろう。
今は忙しかったアメリカ生活から解放されて、休暇中みたいなものなのだと愛美が言っていた。
再びあの病院で医者として働き始めたら忙しい日々に戻るに違いない。
『そうだ。由麻ちゃん、仕事終わった後暇?』
「え?まぁ、暇と言えば暇ですけど」
帰って夕食を食べて寝るだけだ。
『じゃあどこかに食事に行かない?』
「食事ですか?」
『うん。どうかな?昨日道案内してもらったお礼もしたいし』
「そんなの気にしなくていいですよ」
『俺がお礼したいの。だからどう?』
「……わかりました。じゃあ終わる頃に連絡しますね」
迎えに来てくれると言う和音にお礼を言ってから電話を切る。
「何?今日どっか行くの?」
厨房に戻ろうと立ち上がると、これから休憩に入るであろう理麻が入ってきた。
電話の声が聞こえていたのか、腕を回しながら聞いてきた。