本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜
「うん。ちょっとご飯食べに行ってくる」
「愛美?」
「ううん。この間言ったでしょ、愛美は今入院中」
「あ、そうか。じゃあ誰だ?愛美の他にお前友達いたっけ?」
エスカレーター式の私立学園の幼稚舎から高等部を卒業するまでずっと愛美と一緒だったため、当たり前に理麻も愛美と仲が良かった。
お互いの交友関係は殆ど知っているのだ。
「失礼だな。友達っていうか、愛美のお兄さん。昨日病院で会って少し仲良くなったの」
「……あぁ!あの歳の離れた!」
「そうそう。和音さんっていうんだけどね。一緒に食事行こうって言われたから」
言いながら休憩室を出ようとすると理麻はニヤリと笑って由麻を見つめた。
「へぇー……じゃあデートか。良かったな」
「えっ!?」
「仕事か愛美ばっかりで男っ気の無いお前にそんなお誘いが来るとは。良かったなあ」
「何その言い方!もう!そんなんじゃないから!」
「向こうはどう思ってるかわかんねぇけどな?」
「うるさい!ごゆっくり!」
理麻に捨て台詞を吐いて、由麻は逃げるように部屋を飛び出した。
……デート。なんて。
由麻の顔は、ほんのりと赤く染まっていた。