本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜
由麻は愛美の無事を見て安心したように微笑んでから持ってきたフルーツを見せた。
「これ、一緒に食べようと思って持ってきたんだけど、食欲ある?」
「やった!食べたい!何入ってるの?」
「んー、桃とメロン。後は葡萄。どれがいい?」
「メロン!」
「はーい。じゃあ切るからキッチン借りるね」
簡易キッチンで小振りなメロンを切る。愛美が食べやすいように皮から身を外して器に盛って渡し、話しながら一緒に食べた。
「大学は?どうするの?」
「うん。休学も迷ったけど冬になったら実習も始まるから、退院したらすぐに復帰しようと思ってるの。出席日数の問題で単位ヤバいかもしれないからしばらく忙しくなりそう」
「そっか。無理はしないでね」
「うん」
小児科医を目指している愛美は現在医学部の四年に進級したばかり。
今年の冬からは実際に病院での臨床実習も始まるため、すごく重要な一年になるだろう。
愛美が実習に向かうのをとても楽しみにしていたのを由麻も知っていたため、今回こんな事故に遭ってしまって今後どうなるのか心配していたのだ。
どうやらそこまで大きな問題は無いようで安心した。
「じゃあ私行くね」
「うん。ありがとう」
メロンを食べ終わるとその後検査があると言う愛美に挨拶をして、愛美の顔を見にくるのが目的だった由麻はすぐに病室をあとにした。