本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜


「違いますよ。ただ苦手なだけ。だって一回覚えたら忘れないじゃないですか」


「……まぁ、うん」



真剣な眼差しに、目を奪われてただ頷くことしかできない。



「だからそれは欠点ではないです。それに完璧すぎる人って逆に嫌煙されますよ?私はそれくらい、何か一つでも苦手なことがある人の方が親しみやすくて好感を持てます」



そう言って見せた微笑みに、和音は耐えられずにその小さな体を引き寄せる。


ぶわりと吹いた風。それが頰を撫でる前に、和音の腕の中に包まれた。



「……和音さん?」



驚いて問いかけるものの、返事は無く。


ギュッと力が籠る、大きな手。



「……由麻ちゃん」


「……はい」



突然のことに鼓動はどんどん早くなり、呼吸も次第に浅くなる。


呼吸する度に感じる和音の香りと温かさが心地良くて。


至近距離で聞こえる和音の声が、由麻の耳から全身を震わせる。



「……俺、由麻ちゃんのこと好きだわ」


「え……?」


「由麻ちゃんを困らせるのわかってるけど。俺、由麻ちゃんが好き」



病室で愛美の話を聞いて、こうやって抱きしめられて。


そうなんじゃないか。そう予想していても、実際に面と向かって告白されると信じられなくて。



「……ついこの間、初めて会ったばかりなのに?」


「うん」



子どもみたいに頷く和音に、由麻は驚きと嬉しさとで赤面する。


そしてやはり恥ずかしさが勝ってしまい、顔を上げることができない。

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