本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜


「──由麻!」


「何?」


「突然で悪いんだけど、由麻のお見合いの相手がようやく決まったの」


「──え!?」


「突然のお話だったから私達も驚いちゃって。先方と話し合ってようやく正式に縁談が決まったの」


「……」


「大丈夫。ちゃーんと由麻も知ってる人だから」


「え!?私が!?誰!?」



あれから一週間が経過した。


約束通り愛美には事細かに説明してあげた由麻。


愛美は聞いているだけでお腹がいっぱいだ、とキャーキャー言いながら楽しんで由麻をからかっていた。


そんな中、仕事の休憩中に突然母親に渡された冊子。


お見合い相手の写真だろうか。


丁度一週間が経過した。そして由麻の知っている人。もしかして。


期待と不安で押し潰されそうになっている中、"早く開いてみて!"とそわそわしている母親に小さく頷いてからそっと冊子を開く。



「……あ」


「ね?由麻の知っている人でしょう?」


「……」



由麻は、その写真を見て思わず声をあげそうになった。


──だって。



「まさか由麻が二階堂 和音さんとお知り合いだったなんて。お話をいただくまで私知らなかったわ」



そこに写っていたのは、綺麗に笑っている和音の姿だったから。



「先日【鮨善】に一緒にお食事に行ったんですってね?その時のことをこの間中本さんにお会いした時に聞いたの」



そういえば愛美ちゃんと仲良しだったものね。


そう言った母親に、由麻は首を縦に振る。


【鮨善】の大将である中本さんに、感謝しないといけない。

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