本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜
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「まさか付き合う通り越して結婚だなんて」
「まだ何も決まってないよ。お見合いするだけ」
「いや、お見合いなんて結婚前提だから。いい?私達姉妹になるんだよ?」
「……愛美と姉妹」
「何その失礼な間は」
「ちょっと変な感じだなって思っただけ」
和音とのお見合いが決まったとの連絡を受けた数日後。
由麻は再び愛美の病室を訪れていた。
ここ最近はほぼ毎日通っているため、仕事の前にお見舞いに来るのがもはや日課と化していた。
「当日は?ワンピース?訪問着?」
「訪問着。前に仕立ててもらってまだ着てないやつがあるんだ」
「そっか。楽しみだね!……私も行きたかったなあ」
「ふふ、お見合いに兄弟姉妹は来ないでしょ」
「でも見たかったんだもん!」
「それからかいたいだけでしょ」
「あ、バレた?」
愛美の怪我も順調に回復してきており、つい昨日抜糸したばかりだ。
今まで車椅子だったのが、松葉杖で病室の外まで行けるようになった。
あと二、三日もすればおそらく松葉杖で院内を散歩くらいならできるようになるだろう。
「お兄ちゃんもね、しょっちゅうここに来るんだよ」
「そうなの?」
「うん。由麻とのお見合いが楽しみみたいで、毎日そわそわしてるよ」
和音はここ数日の間にこの病院で働くために様々な手続き中だ。
由麻とのお見合い後から本格的に働き始める予定らしい。
その手続きの合間を縫って愛美の病室に来ては由麻の話をして帰っていくらしい。
由麻は自分の知らないところで自分の話がされている事実になんだか恥ずかしくなる。
一体どんな会話がされているのか。