本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜
「俺さ、前も言ったと思うけどずっと恋愛に対して臆病でさ」
「……」
「どうせ幻滅されるんだから、結婚なんて一生しないと思ってた」
「……和音さん」
「でも由麻ちゃんは俺に幻滅するどころか笑い飛ばしてくれる。一番ダメなところを最初に知られちゃってるからかな。なんだろう……取り繕う必要とか、臆病になる必要がなくて。純粋に好きだなって思えた」
梅の木を見上げた和音の左手に舞い降りてきた、一枚の花びら。
それにふうっと息を吹きかけると、他の花びらと一緒に飛んでいって。
それを目で追った後に、無邪気な笑顔で由麻を見た。
「──だから、こんなに本気で"欲しい"って思った人、由麻ちゃんが初めてかも」
キュ、と胸が締め付けられるように痛む。
おもちゃを貰った子どもみたいな、楽しくて仕方がないという笑い方。
それがなんだか可愛らしくて。新鮮で。
「由麻ちゃん」
「は、い」
「好きです。俺と、結婚してください」
「……私も好きです。私でよければ、末永くよろしくお願いします」
その笑顔から、目を離すことができなかった。