本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜
「どうだった?」
「どうって言われても……」
「お兄ちゃんって、由麻の前だとどんな感じなの!?」
「えぇ……?」
例によって愛美の病室での報告会の時間。
興味津々で昨日のお見合いのことを聞いてくる愛美に、由麻は若干引き気味だ。
あの後、和音と由麻は一緒に喋りながら庭園を一周し、あの茶室に戻った。
そこでお開きになり、それぞれ帰宅したのだが。
「お兄ちゃんてば、昨日ここに寄ったかと思ったらずっとニヤニヤしてたんだよ。"由麻ちゃんが可愛かった!"って。もうそれしか言わないの。
……そうそう、ツーショットも見せてもらったよ」
「え、あれ見たの?」
「見たっていうか、見せられたっていうか。送りつけられたっていうか」
一周して茶室に戻る直前に、あの橋のところで写真を撮りたいと言った和音とツーショットを撮った。
"これ送ってもいい?"
頷いたらすぐにメッセージアプリに送られてきた写真。
ひっそりとそれを保存して、昨日の寝る前に布団の中でずっと見ていた。
「二人がすごい良い笑顔で写ってたから、私まで嬉しくなっちゃって」
「……うん。私も嬉しかった」
和音の笑顔が眩しくて、でもそれと同じくらい嬉しそうに笑っている自分の姿。
最後にこんな風に心の底から笑ったのはいつだったかなんて。思い出すこともできない。
それくらい、自分でも良い笑顔だと思った。
「ちゃんと由麻が"女の顔"してて、安心したんだ」
「お、"女の顔"って……」
それは即ち、やはり愛美には由麻の気持ちもバレているわけで。
それがわかると急に恥ずかしくなった。