本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜
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数日後。
お互いに先日のお見合いに承諾の返事をしたため、晴れて正式に婚約者となった二人。
まだ具体的なことは何一つ決まっておらず、でも二人で一緒にいることが増えた。
「美味しいね」
「はい。とても」
この日は和音が泊まるホテルの最上階にあるレストランでディナーデートを楽しんでいた。
ドレスコードのためにシックなワンピースを選んで着てきた由麻は、滑らかに流れるピアノとバイオリンの生演奏を遠くに感じながら奥にある個室にいた。
大きな窓からは都心の景色が一望できる。夜景がとても綺麗だ。
シャンデリアの下、ほんのり柔らかい照明が二人を包む中、コース料理も終盤に差し掛かりデセールをいただく。
「和音さんは、甘いものがお好きなんですか?」
由麻の家の苺大福は和音の大好物だ。それを思い出してピスタチオのジェラートを口に運ぶ和音に声を掛けた。
「そうだね。結構好き。でもあんまり甘ったるいのはそんなに得意じゃないかも。
由麻ちゃんところの苺大福は丁度良い塩梅だから大好きなんだよね」
その言葉は和菓子を作る者としては嬉しいの一言。
「……もう一軒行かない?」
「はい。いいですよ」
食事を終えると二軒目に誘われて、断る理由も無いため二つ返事で頷く。
エレベーターに乗って着いた先は、さらにその一つ上の階にあるバー。