本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜


美味しいカクテルを飲みながら、二人はゆったりとした時間を過ごした。


アメリカでの話や、由麻の学生時代の話。


愛美と理麻の話まで。


気が付けばバーに来てから二時間が経ち、そろそろ出ようかと立ち上がる。


すると思いの外酔っていたのか由麻はふらりとよろける。


縺れた足に驚いて倒れそうになったのを、和音が受け止めた。



「……あ、すみません」


「大丈夫?」


「ちょっと酔っちゃったみたいです……」



普段あまり飲まないから、ついはしゃいでしまったようだ。



「ペース早かったか。度数低いから油断してたな……ごめんね由麻ちゃん」


「いえ、大丈夫です……」



和音に支えてもらいながらバーを出てエレベーターに向かう。


しかし立ち上がったことでさらに酔いが回ってしまい、段々頭がボーッとしてきた。


見兼ねた和音は、



「ちょっと休んでいきな」



と止まっているロイヤルスイートに連れて行った。


部屋の中は一人で滞在するには有り余ってしまうほどの広さを和モダンなインテリアで統一した空間だった。


レストランと同じ、絶景が一望できる窓。


それらを横目に、ソファに座るように促される。


体を包み込むような柔らかさのソファに腰を下ろすと、和音は由麻にグラスに注いだミネラルウォーターを渡した。



「ありがとう、ございます」


「いーえ。落ち着くまでゆっくりしていきな」



ミネラルウォーターを飲む由麻の隣に同じようにグラスを持って腰掛ける。


特に何か会話するわけでもなく、しばらく無言の空間が続いた。


でもそれが気まずいわけでもない。むしろその無言がどこか心地良い。


次第に眠くなったのか、グラスを持ったままコクリコクリと頭が揺れる由麻を、和音はそっと抱き寄せる。


水を溢さないようにグラスをその手から取り、テーブルに置いた。

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