本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜
「……ここ、数億円越えらしいですけど」
「うん、そうらしいね。でも俺アメリカで全然お金使ってなかったから大丈夫」
大丈夫、とは。
和音の資産は相当なもののようだ。
「由麻ちゃんと住むわけだから、ちゃんとしたセキュリティは必要不可欠だし、ここなら二十四時間コンシェルジュが常駐してるから安心。しかも隣の駅だからお互い通勤に便利」
「た、確かに」
「部屋が広いに越したことはないしね。後は何より、ここなら多分俺が迷わないから!それが一番の理由です」
きっぱりと言ってのけた和音に、由麻は小さく吹き出す。
「それは確かにっ……ふふっ、そうですね。それは重要かも。……でも駅直結のタワマンもあるのにどうしてここに?」
「あぁ……今ホテル暮らしで高層階に住んでるけど、エレベーターの時間が長くて。買い物行ったりしても荷物運ぶの大変でしょ。だからこれくらいがちょうどいいんだ」
「そっか。言われてみれば」
「でしょ?ここならどこからでも見えるから迷うことないし、駅直結ではないけど近いから暮らすのにも便利だと思うんだ。職場に近いとそれだけ家にいる時間も長く取れるから、由麻ちゃんと一緒にいれる時間も確保できて一石二鳥!」
「なるほど」
会えなくなるのが寂しいと思っていた由麻にとっては朗報だった。
「ゲストルームもあるから暇な時は愛美呼んでもいいし」
魅力的な提案の数々に、思わず口角が上がる。
こういうのがいい、こういうのは必要無い。そんなことを喋っている間に和音に手を取られ、エントランスを潜った。