本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜
「え!?妹のことご存知なのですか?」
彼も目を見開いて由麻を見つめていた。
「知ってるも何も、先程まで愛美の面会に訪れていたんです。愛美とは昔からの友人で」
「そうだったんですか……」
世間とは狭いものだ。お互いに顔を見合わせて、小さく笑う。
そのタイミングでエレベーターが音を鳴らして扉を開いた。
「申し遅れました。愛美の兄の二階堂 和音と申します。よろしくお願いいたします」
「あ、茅野 由麻と申します。こちらこそよろしくお願いいたします」
降りた廊下でお互いに深々と挨拶を交わす。
そうして愛美の病室に並んで向かった。
「こちらです。愛美は今検査中だと思います。時期に戻ってくると思いますので」
「本当にありがとうございました」
「いえ、では私はこれで」
会釈して和音を病室に残し、由麻は今度こそ病室を出る。
今度は無事にエントランスから外に出ることができた。
由麻が帰った後の病室では、十分程で愛美が車椅子で戻ってきて和音の姿を見つける。
「あれ?……お兄ちゃん!久しぶり!来てくれたの?」
「愛美、大丈夫か?事故に遭ったって連絡来て慌てて飛んできたんだ」
「大丈夫。ちょっと縫ったりもしたけど綺麗に縫合して貰ったから跡も殆ど目立たずに治るだろうって」
「そっか、良かった」
ホッとした様子の和音に、愛美は笑う。