本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜
8
──半年後。
甘い時間から始まった二人の同棲生活はやはりお互いの休日は合わないし忙しい毎日だったものの、二人が同じ場所に帰ることができるだけで嬉しくて、幸せを噛み締めていた。
「ただいま」
「おかえりなさい」
和音はこの半年の間に外科医として必死で働き、沢山の難しい手術を成功させてきた。
その功績は病院内外問わず幅広く知れ渡り、和音を頼って診察に訪れる患者もいるくらいだ。
院長である和音の父親もそれをしっかり認めており、手術の合間に院長業務も少しずつやらせているらしい。
跡を継ぐのも時間の問題だろうと周りが囃し立てていた。
和音が仕事を終えて帰ってくると、由麻が夕食を作って待っていてくれる。
エプロン姿の由麻が迎えてくれることが、和音はたまらなく嬉しくて、疲れもどこかへ吹き飛んでいく。
出される料理も、和音の健康の好みを気遣って和食中心。
毎日仕事が終わるとすぐ帰っていくため愛妻家としても最近有名だ。
由麻は由麻で変わらず和菓子職人として理麻と一緒に毎日扱かれながらも充実した毎日を送っていた。
夕食を食べ終えた後は天気が良い日はベランダに出て一緒にワインを飲んだり、シアタールームで映画を見たり。寝る前のほんの少しの時間で結婚式の準備を進めたりと比較的まったり過ごすことが多い。
愛美とはあまり会えなくなってしまったものの、連絡は毎日とっている。
そんな、夏の終わり。
「いよいよもうすぐだね。結婚式」
「はい。今からもう緊張してます」
「そうなの?そうは見えないけど」
「平静を装ってるだけです。心臓はバクバクしてますから」
迫った結婚披露宴。
準備は万端だ。