本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜
そして当日。
由麻と和音は、グアムにいた。
"アメリカの友人や海外でお世話になった人も招待したいから、出来れば海外で挙式がしたいんだ"
という和音のたっての希望で、グアムのビーチの目の前に建つチャペルで結婚式を執り行うことにしていた。
日本にいる友人達は来られない人もいるため、後日日本のレストランにて食事会も開催予定だ。
由麻は式場の控え室で純白のウェディングドレスに袖を通し、その時をじっと待っていた。
プランナーの方に促され、チャペルの重厚な扉の前に向かうと正装の父親の姿。
「……感慨深いものがあるな」
呟いた父親の腕にそっと手を通し、大きな音と共に開いた扉の向こうに、ゆっくりと足を進める。
真っ白なチャペルの中は、全方向がガラス張りになっておりそこから見える景色はキラキラと輝くエメラルドグリーンの海とどこまでも広がる青い空。
沢山の拍手に迎えられ、一礼してから一歩一歩バージンロードを歩く。
その先に見えるのは、ライトグレーのタキシードに身を包んだ和音の姿。
ベール越しでも見える柔らかな微笑みに、由麻も同じ微笑みを返した。
父親に「ありがとう」と一言呟いて、和音に寄り添う。そして祭壇の前に立つと、参列者からの祝福の賛美歌に由麻は涙が出そうになった。
現地の初老の牧師さんからの英語での誓いの問いかけに、
「I do(はい、誓います)」
とそれぞれが永遠の愛を誓う。
指輪の交換をした後に和音がそっとベールに手をかけ、由麻も持ちやすいように少しだけ頭を下げた。
ベールを持ち上げる時に、耳元でそっと囁いた和音。
「──愛してる」
顔を上げた由麻は、喜びの涙で目を潤ませながら和音を見上げた。
ゆっくりとその存在を確かめるような誓いのキスは、真っ白なチャペルと窓の向こうの空の青さと海の輝き、そこから入り込む柔らかな日差しが相まってとても幻想的で。まるで絵画のよう。
招待客はその美しい光景に目を奪われたのだった。