死体写真
まだ朝もやに包まれている路地へとパジャマで放り出される加菜子。


私は慌てて加菜子と助け起こした。


「なんてことするんですか!?」


最後まで言う暇もなく、バタンッ! と音を立てて玄関ドアが閉められた。


続いてガチャッと鍵まで閉める音が聞こえてくる。


「なに……あれ……」


私と加菜子はしばらく呆然としてその場から動くことができなかった。


突然帰宅したかと思ったら、家を追い出されてしまった。


勝手に泊まったことは悪かったと思うけれど、あんな風になるだろうか。


「今のはお母さんじゃなかった」


加菜子が両手で自分の体を抱きしめて言う。


「あんなの、お母さんじゃない」


地面には引っ張られて引きちぎれた髪の毛が何本も散らばっていたのだった。
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