死体写真
裕之の声も興奮していて、どうにか押さえているのがわかった。


「もうこの世にはいないの。同じ学校に通ってた子なんだけど、1年前に死んだ」


死んだ……。


薄々感づいていたことだった。


メールを送りつけてくる相手はすでに死んでいる。


あのメール自体が、この世のものではないということ。


「その子は学校でイジメられてたの。とくにメールを使ったイジメがひどかった。


今どきみんなメッセージアプリを使うでしょう? だけどそれじゃすぐに相手を特定されてしまうから、みんなわざとフリーアドレスを取得して、彼女にイタズラメールを送りつけてたの」


それは昼夜問わず、授業中だろうとテスト中だろうと送られてきていたらしい。


内容もひどいもので、『死ね』『殺す』は当たり前。


ときには彼女が体育の授業で着替えをしているときの写真が添付されていたようだ。


「どれだけひどいメールが送られてきても相手が誰だかわからない。教室内ではみんな優しくて仲がいいから、他のクラスや学年の生徒がやっているんじゃないかとも考えたみたい」


だけど、同じクラスじゃないと知り得ない情報までが送られてきた。


誰かに相談すればそれがすぐにメールに書かれて送られてくる。

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