死体写真
それで相手を詰め寄ってみれば、なにも知らない。誰かに話を聞かれていたんじゃないかと本気で言う。


もう、彼女は誰を信用していいかわからなくなった。


1ヶ月ほどメールが続いた後の彼女は無口になり、つねにひと目を気にしてこそこそと行動するようになった。


明るかった性格も様変わりして、笑い声を出すこともなくなった。


それを見た生徒たちは更に面白がり、彼女を『幽霊』『死神』と呼ぶようになった。


メールでもそのあだ名は使われていて、廊下で歩いている間に何度もそう呼ばれて振り向いた。


しかし、振り向いても誰が自分を幽霊と呼んだのかわからない。


確かに聞こえていたのに、振り向けば誰もこちらを向いてはいない。


みんな廊下で数人の和になっておしゃべりに興じている。


「もちろん、それもわざとやられてたんだけどね。1人が彼女に声をかけて、すぐに友達と無関係の話題で盛り上がるの。たぶん、それくらいのことなら同級生のほとんどがやってたんだと思う」


「同級生のほとんど? その子って、一体何人からイジメられてたんだ?」


裕之が口を挟んだ。


さっきから聞いていれば気になるところだった。


「何人? 何十人でも少ないくらいだよ?」


ランはズズズッと炭酸飲料を飲み干して、今度は冷たい紅茶を入れてきた。


「あなたたちは飲まないの?」
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