死体写真
ドリンクバーは飲めば飲むほどお得になるので、全然グラスの中身が減らないのを見て不思議そうにしている。


普段は私達だってどれだけ飲めるかを勝負のようにして競うけれど、今はそんな気分になれなかった。


「同級生はもうちろん。先輩も後輩も彼女にフリーメールでメールを送ってた」


「なんでそこまで嫌われたの?」


私からの質問にランは目を大きく見開いた。


「イジメをするのに理由なんているの?」


見開いた目をパチパチとまばたきさせて聞いてくる。


確かに、イジメに理由なんてないときもある。


だけど、なにもないにしてはやりすぎじゃないだろうか。


「ただ、ターゲットになっただけだよ。呪いのメールと同じでしょう?」


そう言われて背筋が寒くなった。


ただ、ターゲットにされただけ。


それは死んでしまった彼女が生前受けた仕打ちを同じだったのだ。


理由なんてない。


ただアドレスに入っていたから、選ばれただけ。


「彼女最後には鬱になっちゃってさ、学校に来ていてもずーっとひとりでブツブツなにか呟いてて、時々ニヤァと笑ってさ。さすがに気持ちが悪くって、直接ちょっかいを出すような生徒はいなくなったんだよね。だけど遅かったよ。何百人という人間が送ってくるイジメメールのせいで、完全におかしくなっちゃった」
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