死体写真
☆☆☆

ランに連れられてやってきたのは日当たりの良い集合墓地だった。


石橋家の墓と書かれた墓石の前で立ち止まり、3人並んで手を合わせる。


お墓参りに来るような準備はしてこなかったこが悔やまれたが、一刻も早く呪いを解く必要があったので真っ直ぐにここまでやってきた。


落ち着いたら加菜子も一緒に献花しにくればいい。


目を閉じて手を合わせ、懸命に思いを伝える。


もうこれ以上犠牲者が出ないように。


加菜子の命が助かりまそうようにと、呪いの元凶を断ち切る気持ちで。


「結」


裕之に呼ばれて目を開けると、ふたりともすでに頭を上げていた。


じっくり10分間もここにいたことがわかって大きく息を吐き出す。


「これで大丈夫だと思う。イオリはいい子だから」


ランがなにかの確信に満ちた表情で言う。


自分たちの願いを聞き届けてくれればいい。


これくらいのことで、どうにかなるのなら、すぐにでも行動していればアコだって……。


そこまで考えて頭を左右にふった。


今アコのことまで考えるのはやめよう。


加菜子にもう安心だということをすぐにでも伝えたかった。


病院にいるから無理かもしれないけれど。


「ありがとうラン。なんだか気持ちがスッキリしたよ」


言葉どおり、裕之の表情は晴れ晴れとしていたのだった。
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