死体写真
☆☆☆

呪いの元凶は断ち切った。


これですべての恐怖から開放されるはずだ。


もう少し早くに気が付き、行動に移すことができていれば未来はもっと明るかったのかもしれない。


でも、過ぎたことを悔やむばかりでは前には進めない。


帰りのバスの中、私と裕之はほとんど会話をしなかった。


右手に見える車窓から街の景色をジッと見つめる。


時刻はすでに昼前になっていて、これから加菜子がいる病院へ向かう予定になっていた。


一応メッセージを送っておいたけれど既読がつかないので、まだ意識が戻っていない可能性もある。


呪いの理由を探れば信じられないほど悲しい事件に行き当たった。


アコの葬儀で見かけたイオリの姿を思い出すと胸が痛くなる。


あの時はただの〇〇高校の生徒だとしか思わなかったが、今は成仏できずに苦しんでいるように見える。


もんもんと考えことをしていると、バスは病院の最寄りで停車した。


お金を支払って地面に降り立つとすごく久しぶりに自分の街へ戻ってきたような、不思議な感覚に襲われた。


院内は消毒液の匂いがあちこちに染み付いていて、つい顔をしかめてしまった。


受付で加菜子の病室を聞き、エレベーターに乗り込む。


「きっと加菜子も無事に目が冷めてるはずだ」


エレベーターの中でようやく裕之がぽつりと呟いた。


朝から様々なことが起きて疲れ切っているみたいだ。


加菜子の無事を確認したら、すぐに帰って眠りたい。

< 122 / 155 >

この作品をシェア

pagetop