死体写真
☆☆☆

強引に裕之のスマホを奪い取り、呪いメールに返信したのはそれから5分後のことだった。


手が震えてうまく操作できなくて危うくタイムリミットがきてしまう寸前のことだった。


メール送信がうまいったことを確認すると、私はそのまま道路に座り込んでしまった。


あれだけ流れていた汗はいつの間にかひいていて、今は肌寒いくらいだ。


何度も撮影した少年の死体が網膜にこびりついていて、まばたきをする度にその姿が浮かんでは消えていく。


いや、まだ少年が死んだとは限らない。


生きていたかも知れない。


いま頃救急搬送された先で意識を戻しているかも。


そこまで考えたけれど、それはただの願望に過ぎなかった。


少年の死体写真は呪いのメールに受け入れられた。


そして裕之は今でもこうして生きている。


それがすべてを物語っている。


「なんてことをしたんだ!」


自我が戻った裕之が顔面蒼白で私の両肩を掴んだ。


痛いくらいに指が食い込んでくる。


「裕之だけは……助けたかったの」


誰だってそうだ。


自分の愛する人や家族だけはどうしても助けたいと願うはずだ。
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