死体写真
☆☆☆

結局こういうことなんだろう。

誰かの命を奪ってまで他の誰かを助けたりしたから、しっぺ返しが来たのだ。


今頃少年は空の上から私をあざ笑っているかもしれない。


『僕を殺した罰だよ』と、言われている気がした。


私はフラフラと家を出てさまよい歩いていた。


スマホも財布も全部家に置いてきた。


そんなものを持っていたって、もう私には必要ないからだ。


外は相変わらず同じ光景があって、行き交うサラリーマンと学生で溢れている。


みんなが制服を来て学校へ向かう中、私だけがパジャマ姿で逆走していた。


添付されていた写真を思い出す限り、私は高いビルとか学校の屋上から飛び降りて死ぬのだと思う。


学生の私の死に場所として最もふさわしいのは、やっぱり屋上だ。


呪いのメールも、きっとそうなるように私に行動させるはずだ。


だからこれはせめてもの抵抗。


なにもかもが呪いの思い通りにはならないという、抗議。


私はこの街で一番高いビルへとやってきていた。


ビルの3階までは飲食店が入っていて、それより上には中小企業が入っている。


外階段を上がれば誰でも屋上までたどり着くことができることを、知っていた。


元々はグリーンに塗られていたらしい外階段をカンカンと音を鳴らして上がっていく。


階段は随分と色が剥がれていて、赤茶色に変色している部分も多く見られた。


この建物の中では今の時間帯、出勤してきた社員たちが集まってきているのだろう。


あと数十分で就業時間になるのかもしれない。

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