死体写真
☆☆☆

和が指定してきた公園は学校の近くにある大きな公園で、到着した頃にはちょうどチャイムの音が聞こえてきていた。


砂場やブランコではまだ就学前の子どもたちがはしゃぎ声を上げていて、少し離れたベンチでは母親たちがなにやら話し込んでいる。


私達は邪魔にならないように、広場へと足を向けた。


サッカーゴールだけが置かれている広場ではいつもは老人たちがゲートボールやグランドゴルフを楽しんでいるけれど、今日は誰の姿もなかった。


きっと集合する日ではないのだろう。


誰もいない広場の角に置かれている寂れたベンチに座って和が来るのを待つ。


その間にも子どもたちの嬌声が聞こえてきて、沈んだ気持ちは少しだけ明るくなるのがわかった。


「いいよね子供って。私子供が大好き」


遊具で遊んでいる子どもたちを目を細めて見つめる加菜子。


加菜子の将来の夢は保育士さんで、進学する大学もすでに決めてあると言っていた。


ふわふわとした柔らかな雰囲気をまといながらも芯はしっかりしている加菜子にはお似合いの職業だと思う。


小さな子どもたちに懐かれて囲まれる加菜子の姿はすぐに想像することができた。


はしゃぐ子供たちを見て癒やされている間に和がすぐ近くまで来ていた。


「よぉ……」


弱々しい声に暗い顔。
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