死体写真
眠れていないのか目の下は真っ黒なクマができている。


そんな和の姿を見て一瞬言葉を失ってしまった。


こんな状態の和に呪いのメールの話とか、アコの自殺の真相を調べていることを伝えるのかと思うと一気に気が重くなってきた。


「なんか、頭が真っ白でなにも手につかなくて」


和はボソボソと呟いてベンチに座った。


3人が座る古ぼけたベンチはギィと悲鳴を上げている。


「一旦は学校に戻ったけど、先生の言葉とか裕之の言葉とか、全然入って来なくて、やっぱ早退したんだ」


みんな和のことをきにかけて話かけているんだろう。


それにしっかり答えられないことを和は気にしている。


「そんなときに呼び出してごめんね」


申し訳ない気分でいっぱいになり、涙がこみ上げてくる。


自分たちは呪いのメールのことで頭がいっぱいになっていて、悲しむ余裕なんてなかった。


「いや。それで、聞きたいことって?」


茫然自失状態の和だけれど、ちゃんとこちらの話を聞こうとしてくれている。


それはきっとアコのことだからだろう。


「アコに隣町の友達がいなかったかどうか知りたいの」


加菜子が柔らかな声色で訊ねた。


苛立っている人の心をほぐすような、優しい声だ。


「隣町?」


一瞬眉間にシワを寄せた和だけれど、すぐに頷いた。
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