死体写真
学生たちの中に葬儀場で見たあの制服が混ざっているのを発見して、私も立ち上がる。


3人でファミレスを出て歩いていても、この時間帯ならそれほどの違和感はない。


見慣れない制服だからときどき視線を向けられても、堂々と歩いていればやり過ごすことができた。


それから10分ほど歩いたところに○○高校があった。


灰色の高い壁が来るものを拒み、狭い門が注意深くこちらを伺っている。


自分たちの学校とほとんど変わらない外観をしているのに、こんな風に威圧感を覚えるということは、きっと自分の気持ちが深く関係しているのだろう。


文化祭や体育祭の見学といった理由でここへ来ていれば、もっと浮足立っていたに違いない。


校門から出てくる生徒たちのなかに葬儀場でみた少女の顔を探したけれど、さすがに見つけることは難しかった。


だいたい、彼女が葬儀に出席したあと学校に戻ったのかどうかもわからない。


「行ってみるしかねぇな」


校門前でしばらく立ち尽くしていたけれど、和が先頭に立って歩き出した。


生徒たちの数は少なくなってきていて、スムーズに校門を入ることができた。


灰色に塗装されている通路を昇降口まで向かう。


木製の昇降口は自分たちの高校とは違うものだった。
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