死体写真
同年代の私達の話であれば、きっと聞いてもらえる。


でも、突然開いたドアに私達は言葉を失って立ち尽くしてしまったのだ。


真面目そうな男子生徒の表情はみるみる不審を満ちていく。


「君たち、誰?」


澄んだ声で質問されて、どうにか和が引きつり笑顔を浮かべた。


「お、俺たち飯沢高校の生徒なんだけど、ここってクリちゃんがいたクラスだよな?」


緊張のせいか和のセリフはたどたどしく、わざとらしい。


それでもどうにかクリちゃんについて聞き出そうと必死だ。


「そうだけど、なんで隣町の生徒がここに?」


男子生徒はまるで教室内には入らせまいとするように腕組みをして、一歩も動こうとしない。


教室内にはまだ何人か生徒たちが残っているようで、「どうしたの?」と、声が聞こえてくる。


しかし男性生徒はそれに答えることもなく、ジロジロと私たちを睨みつけてくる。


「私達、クリちゃんと小学校が同じなの。それで今日になってクリちゃんの訃報を聞いたんだけど、クリちゃんの住所がわからなくて聞きに来たの」


早口で説明すると男子生徒が目を見開いた。


どうにか納得してくれただろうかと不安に感じながら次の言葉を待つ。


「そうか。でもそれらどうして証明書を首から下げてないんだ?」


「え?」
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