死体写真
☆☆☆

「ねぇ、大丈夫なの?」


加菜子の言葉の意味が私と裕之とのことを言っているのだと気がつくまで数秒の時間が必要だった。


今日は休日だけれど裕之とのデートを断って、加菜子と合流したところだ。


普段の加菜子はゆるいワンピースをふわりと着こなして女の子らしい雰囲気だけれど、今日は紺色のジーンズにTシャツというラフな格好だ。


呪いのメールを調べることに決めていたので、動きやすい格好をしてきたのだろう。


私も同じような服装だった。


「大丈夫だよ。それくらいで壊れる関係じゃないから」


私は自分に言い聞かせるように説明した。


裕之からのっ沿いを断ったとき、あからさまに嫌な顔をされたことが思い出される。


もう少しで自分たちの関係が進展すると思っていた矢先のことなのだから、怒っても当然だと思えた。


だけど裕之とふたりきりになったところで、今の私にはそんな気分にはなれなかった。


どれだけ裕之のことが好きでも、アコのこと、呪いのメールのことが頭から離れない。


それを解決してからじゃないと、私は前に進むことができない。


「よぉ、待ったか?」


その声に顔を上げると、ファミレスのドアを開けて和が入ってくるところだった。


黒い帽子を目深にかぶりその表情は読み取れない。


「私達もいま来たところだから」


隣に座る加菜子が答えると、和は私達の前の席に座った。


帽子はかぶったままで挙動不審そうに当たりを見回している。


「大丈夫?」
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