死体写真
少し手を伸ばせば届く距離なのに、それはものすごく遠い距離にも感じられた。


ようやく指先にバッグが触れたとき、またスマホが振動してバッグ越しにそれが伝わる。


思わず手を引っ込めてしまいそうになったが、どうにか押し留めて蓋をあけた。


スマホはバッグの壁面に付けられている小さなポケットに入れている。


そろそろと指先でつまんで引っ張り出したときにはすでに震えは止まっていて、チカチカとメール受信を告げるライトが点滅していた。


加菜子と和のふたりも固唾を呑んでこちらを見つめている。


私はようやくテーブルにスマホを載せて画面を表示させた。


そして、一気に体のちからが抜けていくのを感じた。。


画面に表示されていたのはメール受信を知らせるマークではなく、メッセージを知らせるマークだったのだ。


普段より長く振動していたのは一気に数件のメッセージを受け取ったから。


確認してみればなんでもないようなことなのに、じっとりと汗をかいてしまった。


大きく息を吐き出してメッセージを確認する。


そのどれもが裕之からのメッセージで、安心したのもつかの間、重たい気分になってしまった。


《裕之:最近付き合いが悪くなったよな》


《裕之:結と、もっと近づけると思ってたのに》


その文面に気持がどんどん重たくなっていく。


自分だってわかってる。


呪いのメールなんてものを本気で調べている彼女を見て、裕之がどう感じているのか。


嫌気が指してきているのだってわかってる。
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