死体写真
石段に座り込んでいた1人の女子生徒が振り向いてそう質問をしてきた。


腰までの長い髪の毛がつややかで、日本人形みたいに整った顔立ちをしている美少女だ。


「そ、そうなの。飯田先輩かっこいいよね」


いいながら必死に背番号の上に書かれているローマ字の名字を読み取る。


ちょうど、その飯田先輩がボールを受け取ったところだった。


一気に相手チームのコートへと攻め込む。


その姿は確かにかっこいい。


「今、飯田先生狙ってる子多いから難しいけどねぇ」


「そうだよね。だってかっこいいもん」


加菜子が女子生徒の言葉に賛同する。


「それもあるけど、ほら、彼女さんがさぁ……」


そこまで言って言葉を切り、苦笑いを浮かべた。


飯田先輩の彼女が誰なのかもちろん知らないが、なにかよくないことがあったみたいだ。


「彼女って、誰だっけ?」


とぼけた風に訊ねると、美少女が信じられないといった表情を浮かべた。


「生徒会の会長を知らないの?」


「あ、あぁ、そっか! そうだったよね!」


サッカー部の人気者と生徒会会長のカップルか。


絵に書いたような青春だ。

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