虹色のバラが咲く場所は
103話 貪欲
「え、え!?」
そう言った瞬間、カメラスタッフさんからもどよめきの声が上がる。
「あの、じゃあその見た目はやらせ、
ですか?」
「いえ、これは僕の意思です。」
「男の子なのにスカートを履いているの?
性同一性障害なの?」
その言い方に少しイラッときてしまって
「男の子がスカートを履いちゃいけないって誰か決めたんですか?
障害じゃないといけないんですか?」
「き、気に障ったならごめんなさい。」
「あ、いえ、僕も言い方が強かったですね。
すみません」
すぐに訂正して話を続ける。
「前々から思っていたことがあるんです。
男装女子はカッコいいという思考をもつ人が多数いる一方で、女装男子は気持ち悪いもの
、という偏見が多いのでどうしてだろうって。性別なんてただの二択です。その二択でその人の生き方を決めることは、
絶対にできません。」
「でもその格好をしているのはどうして?」
「僕はしたいことをしているだけです。
周りに僕の個性を分かってもらえなくて苦労したことは確かにあります。正直、小学校
では遠巻きにされました。でも6年生の時の学芸会で距離は縮まり、打ち解けることができました。」
司会者は何も言わずに頷く
「中学は小学校のみんなとは違うところに
入りました。入学した頃、ちょっとした
いじめがあったんです。まぁ僕も覚悟は
してたんですけど、やっぱり辛くて。
自暴自棄で長かった髪を切って、
可愛い服とか小物を全部捨ててしまって
1ヶ月くらい不登校になったんです。
それでも前を向けたのは
Rainbow Roseのみんながいて、事務所の
皆さんが僕を肯定してくれたから。
相変わらず遠巻きにされることはありますが、友達ができたんです。外見だけじゃなくてちゃんと中身を見てくれた友達が2人。」
「それが写真に写っていた男の子?」
「はい、」
そういうと司会者は安堵のため息をついた
「アイドルの恋愛はご法度なのは
わかっています。でも異性と一緒にいたからってなんでもスキャンダルにされたくありません」
(スキャンダル、ほぼ自分に言い聞かせているようなもの。ファンを混乱させたり
悲しませることはしない。
僕はRainbow Roseの雪希でいる間は絶対に言わない。)
「僕たちはステージを降りたら一般人で学生です。クラスメイトとふざけたり、
勉強したり、遊んだり。そんな学生のうち
でしかできないことを全力でやりたいんです。もちろんアイドルも全力でやります」
「アイドルも学生も全力で、ですか。
どちらかではなく両方。
貪欲でいいと思いますよ。」
口を開いた司会者は優しく笑った。
「それでは最後にメッセージをお願い
します」
「メッセージ、ですか。長くなりますけど
いいですか?」
「はい、大丈夫です。」
「みんな違ってみんないい、という言葉が
あります。でも僕はその言葉が嫌いです。
その言葉の通りなら誰かが生きづらさを感じることはありません。
みんな肯定してくれることになりますから。でも現実はそうじゃありません。特に学校。僕の偏見かもしれませんが社会より、ほかのみんなと違う人は認めない、
という意識が強いかもしれません。
違う人を異物者として、無視したり、
いじめたりそれで生まれたものが絆というの
ならばその人は遠回しに仲間じゃないと言われているのと同じです。
6年間、3年間、9年間、あるいはもっと。
学校という逃げ場のない場所に居続けたら
狂ってしまいます。
狂う前に逃げちゃいましょう。
逃げることは恥ずかしいことじゃありません。無謀と勇敢は違います。
学校という箱庭に縛られ続ける理由は
ありません。」
そこで言葉が詰まってしまい話が途切れて
しまった。
「あの、雪希くん?」
「あ、すみません。言いたいことがまとまらなくなってしまって。えっと逃げることは恥じゃありません。それに女の子の服を着たい
とか男の子の服を着たいとかも間違いじゃ
ありせん。理解してくれないかもしれません。疎まれるかもしれません。身内に明かしたら突き放されるかもしれません。
でもその思考は間違っていないと僕は言いたいです。必ず理解してくれる人はあら、
あらわ、すみません、現れます。
身近かもしれないし遠いかもしれない。
どちらにしても僕たちは個性を、好きを否定
する気はありません。この放送が誰かが
一歩を踏み出す勇気になればと
思っています。」
そう言った瞬間、カメラスタッフさんからもどよめきの声が上がる。
「あの、じゃあその見た目はやらせ、
ですか?」
「いえ、これは僕の意思です。」
「男の子なのにスカートを履いているの?
性同一性障害なの?」
その言い方に少しイラッときてしまって
「男の子がスカートを履いちゃいけないって誰か決めたんですか?
障害じゃないといけないんですか?」
「き、気に障ったならごめんなさい。」
「あ、いえ、僕も言い方が強かったですね。
すみません」
すぐに訂正して話を続ける。
「前々から思っていたことがあるんです。
男装女子はカッコいいという思考をもつ人が多数いる一方で、女装男子は気持ち悪いもの
、という偏見が多いのでどうしてだろうって。性別なんてただの二択です。その二択でその人の生き方を決めることは、
絶対にできません。」
「でもその格好をしているのはどうして?」
「僕はしたいことをしているだけです。
周りに僕の個性を分かってもらえなくて苦労したことは確かにあります。正直、小学校
では遠巻きにされました。でも6年生の時の学芸会で距離は縮まり、打ち解けることができました。」
司会者は何も言わずに頷く
「中学は小学校のみんなとは違うところに
入りました。入学した頃、ちょっとした
いじめがあったんです。まぁ僕も覚悟は
してたんですけど、やっぱり辛くて。
自暴自棄で長かった髪を切って、
可愛い服とか小物を全部捨ててしまって
1ヶ月くらい不登校になったんです。
それでも前を向けたのは
Rainbow Roseのみんながいて、事務所の
皆さんが僕を肯定してくれたから。
相変わらず遠巻きにされることはありますが、友達ができたんです。外見だけじゃなくてちゃんと中身を見てくれた友達が2人。」
「それが写真に写っていた男の子?」
「はい、」
そういうと司会者は安堵のため息をついた
「アイドルの恋愛はご法度なのは
わかっています。でも異性と一緒にいたからってなんでもスキャンダルにされたくありません」
(スキャンダル、ほぼ自分に言い聞かせているようなもの。ファンを混乱させたり
悲しませることはしない。
僕はRainbow Roseの雪希でいる間は絶対に言わない。)
「僕たちはステージを降りたら一般人で学生です。クラスメイトとふざけたり、
勉強したり、遊んだり。そんな学生のうち
でしかできないことを全力でやりたいんです。もちろんアイドルも全力でやります」
「アイドルも学生も全力で、ですか。
どちらかではなく両方。
貪欲でいいと思いますよ。」
口を開いた司会者は優しく笑った。
「それでは最後にメッセージをお願い
します」
「メッセージ、ですか。長くなりますけど
いいですか?」
「はい、大丈夫です。」
「みんな違ってみんないい、という言葉が
あります。でも僕はその言葉が嫌いです。
その言葉の通りなら誰かが生きづらさを感じることはありません。
みんな肯定してくれることになりますから。でも現実はそうじゃありません。特に学校。僕の偏見かもしれませんが社会より、ほかのみんなと違う人は認めない、
という意識が強いかもしれません。
違う人を異物者として、無視したり、
いじめたりそれで生まれたものが絆というの
ならばその人は遠回しに仲間じゃないと言われているのと同じです。
6年間、3年間、9年間、あるいはもっと。
学校という逃げ場のない場所に居続けたら
狂ってしまいます。
狂う前に逃げちゃいましょう。
逃げることは恥ずかしいことじゃありません。無謀と勇敢は違います。
学校という箱庭に縛られ続ける理由は
ありません。」
そこで言葉が詰まってしまい話が途切れて
しまった。
「あの、雪希くん?」
「あ、すみません。言いたいことがまとまらなくなってしまって。えっと逃げることは恥じゃありません。それに女の子の服を着たい
とか男の子の服を着たいとかも間違いじゃ
ありせん。理解してくれないかもしれません。疎まれるかもしれません。身内に明かしたら突き放されるかもしれません。
でもその思考は間違っていないと僕は言いたいです。必ず理解してくれる人はあら、
あらわ、すみません、現れます。
身近かもしれないし遠いかもしれない。
どちらにしても僕たちは個性を、好きを否定
する気はありません。この放送が誰かが
一歩を踏み出す勇気になればと
思っています。」