虹色のバラが咲く場所は

104話 君と僕だよ

あの放送から、僕に対するコメントは
・女装は気持ち悪い
・なんでアイドルやってるの?
・やめてほしい
などの意見もある反面
・勇気をもらった
・応援したい
・似合う
などの声もあった。

(言葉に詰まったのところはうまく
編集されてて安心した)
「あの放送で雪希の人気が爆上がり
しちゃったんだけど」
と不機嫌そうだった類を
「まぁ芋づる式に私たちの知名度も上がればいいね」
と舞は落ち着かせた。

レッスンなどをこなしみんなで
宿題を教え合いながら終わらせて始まった
2学期。
朝、教室に入ると視線を感じる。
(十中八九あの放送だよね)
「「おはよう」」
席に座っても落ち着かないでいると
聞き覚えのある声が。
「おはよう、辺里くん、宮本くん」
(2人が救世主のように見える)
「すごいな、同じ教室にアイドルが
いるって」
「そんな大きな声で言わないでよ」
「まぁ、もうほぼバレてるし
 いいんじゃない?」
「他人事だと思って」
3人で話しているとチャイムが鳴り、
本を手に取り席に着く。

読書の時間が終わっても、授業中でも
チラチラと見られて休み時間の度にヒソヒソ
と、僕の方をチラチラとみて話をしている。
(言いたいことがあるならはっきり言ってくれた方が楽なんだけどな)
ぼんやりと考えていると、机を大きな音を
立ち上がって
「言いたいことがあるならヒソヒソ話して
ないではっきり言ったら!?」
とクラス中に聞こえるように発したのは
「宮本くん」
(普段はこんなこと絶対しないのに)

クラスメイトも意外な人物の発言に
目を丸くしていた。
「そうだよ、雪希は優しいから質問したくらいじゃ噛みつかないよ」
「ねぇ、辺理くん。フォローしてくれてるのはわかるし嬉しいんだけど
他に言い方なかったの?」 
呆れていると1人の男子が近づいてきた。

遠巻きにしていた男子の1人
「あのさ、この前の放送、見たよ」
伏せ目がちに僕に言った。
「ありがとう、ごめん、カミカミだったでしょ?内心、かなり焦っちゃって。」
戯けて見せると、ホッとしたような顔をしたけどすぐにまた暗くなった

「あの、ごめん、なさい。あの放送見て思ったんだ。好きなものも嫌いなものも違くて当たり前。雪希は好きなことをしているだけでなんだって。
なのに見た目だけで勝手に気持ち悪い人だって決めつけてた。ほんと、ごめん」
「ほんと、大丈夫だから」
「でもすごいな、テレビに出るなんて」
目を輝かせていたが
「初出演がスキャンダル疑惑だったけどね」
「スキャンダル?誰と誰?」
(珍しいな、辺理くんが横から口を
出すなんて)

「君と僕のだよ」
数秒固まって、クスクスと笑い出す。
「俺と雪希が、・・・スキャンダル、か。
面白いね」
(てっきり爆笑するかと思ったのに)
「その面白いことでこっちは大変だった
けどね」
「アイドルってどんなことしてるの?」
「どんな、歌ったり、踊ったり、サイン考えたり、握手会したり、かな」
「へー、すごいんだな」
「まぁやることが増えたらその分忙しくなるけどね」
忙しいけど充実してるのは確かだ。
「そういえばそろそろ運動会だな。」
「宮本くん」

(宮本くんってみんながいると男の子っぽい
口調になるけどそれってわざとかな。
でも、そういえばそうだな。
放課後、練習とかするのかな)
5時間目に運動会の種目決めをした。
徒競走の順番を決めたり順調だったが
「なんで僕が因幡の白兎の上なの!?」
と反発したが委員長に
「体感鍛えてそうだからバランス力
ありそう」
との事。
(まぁいいか)

渋々了承して二人三脚、ムカデリレーの
組み合わせを決めて、応援団の役割を分担
して5時間目が終了。
その時に先生から放課後の練習について
聞き、休み時間に慌ててスマホの電源を入れて千鶴さんから1週間レッスンなど休みだと
いうメールを見て安心した。

放課後、僕は辺里くんと二人三脚のペアに
なり足を紐で結んで練習する。
思ったより苦戦する事なくスムーズに
できてびっくりした。
他にも応援団やソーラン節、因幡の白兎の
練習に励み
金曜日に予行。
そして土曜日。
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