虹色のバラが咲く場所は

11話 ふつうってなに

僕は可愛いものが好き。小さい時、
お父さんが誕生日に好きなものを買ってくれると言ってくれておもちゃ屋さんに連れて行ってもらった。着せ替え人形や
うさぎのぬいぐるみが輝いて見えた
「これがいい」
お父さんに見せたのは可愛いリボンが
作れるキット。
「それは女の子がつけるものだよ」
父は軽くあしらいそのキットを元の場所に戻し、手を引かれる。

目の前には変身ベルトやカードセット、
僕は元になったアニメを見ていないから興味が出ない、というかわからない。
でもさっきの言葉が耳から離れない。

ー女の子がつけるものだよー
僕は女の子じゃない。
(僕はおかしいんだ)
お父さんはどこか焦っているように 
見える。
「やっぱりこっちがいい」
僕が指差したのは変身ベルト
そう言った瞬間、お父さんはほっとしたような表情を浮かべる。
「じゃあ買ってくるからな」
帰りの車の中でもあのキットが頭に
残る。
家についてから電源を入れてもらったが

(なにが面白いんだろう)
全然楽しくなかった。

買ってもらったおもちゃはたった一回で飽きてしまいおもちゃ箱の奥に
眠っている。
その後もねだる本は妖精やお菓子が出てくる絵本ばかり。
戦隊モノには興味は湧かず、魔法少女の
アニメにハマった。
両親は僕が異常だと認識した。

休日のたびに病院に連れていかれたのを
覚えてる。

小学校に上がる前あたりから
次第に僕に干渉しなくなった。
両親は疲れたんだと思う。
ワンピースが欲しいと言った僕が。
お小遣いで可愛い髪ゴムを買う僕が。

髪が短い女の子だっている。
ジーパンを履く女の子もいる。
でも髪の長い僕は疎まれる。
スカートを履く僕は煙たがられる。
学校でもいじめられる。
ただ性別が男なだけなのに。
ただ好きな格好をしているだけなのに。
親にも言われた。先生にも言われた。

「「もう少し普通の格好できないの?」」
     
ーふつうってなにー

それでも僕は髪を伸ばす。
スカートを履く。
やめたら自分で自分を殺すようで
嫌だった。
両親は僕を受け入れられなくなり、
僕を遠方に住む祖父母へ押し付けた。
それを機に転校した。

最初は驚いてはいたもののすんなりと
受け入れ迎え入れてくれた。
「どうして僕を受け入れてくれるの」
一度、祖父母へ聞いたことがある。
「男の子でも女の子でも私たちの大切な孫には変わりないから」
「格好くらい好きにしろ。」
2人は笑って言った。

新しい学校でもいじめはなかったが
遠巻きにされることがあるが
気にしなかった。
僕を理解してくれるのは祖父母だけかと
思っていた。
だから今目の前であっけらかんと答える
彼らに僕は驚いた。

「さて、雪希の告白も終わったし、
買い物でも行こうか」
類の発言で私たちは出かける準備をして
寮を出る。
「そうだ、3人とも手を出して」
類の言葉に3人は手を出すと鍵を渡された。
それぞれ2つずつ鍵を渡される。
「メインの鍵とスペアキー。」
今日からここがわたしの帰る場所
なんだ。
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