虹色のバラが咲く場所は
15話 異常なのは
電車を降りたが蓮は歩いている
「走らないの?」
「どのみち遅刻だからな。」
通り過ぎる蓮の後を追う。
「まぁそうだけど」
「ただいつも通りに過ごしていただけなのに、怖くて外を出歩くことができなくなる。被害者からしたら溜まったもんじゃないよ。
なのに、手を出した人は悪びれもせず
外を出歩いている。性犯罪だけじゃ
なく、カウンセリングなどを受けるのは傷ついた人ばかり。どう考えたって異常なのは手を染めた方なのに。」
「そう、だね」
(私は女の子のことばかりでそのものを
考えることがなかった。
蓮の話を聞かなかったら
その視点に気づかなかった。
私はとんだ無知だな)
その後は学校で理由を言った私たち。
元々この日は昼休みに全校集会があり
最後に表彰すると言う話が出たが
2人して断った。
(痴漢を助けました。皆さん勇気ある行動に拍手、なんてあの子からしたら傷口を抉るようなものだろうな)
お互いに2時間目から授業に参加した。
数学の時間、その日は自習で
プリントを解いていると、
「ねぇ、どんな感じなの?」
「どんな感じって?」
後ろからコソッと紗南が聞いてきた。
「ソロ?チーム?どんなレッスン
してるの?」
「その話は休み時間の時にね」
「まぁ、そうだね」
紗南は渋々受け入れ再び静かになる。
そして授業終了後。
「えっと、こういうのってペラペラ
喋っていいのかな。」
「名前だけでも、お願い」
私の前で手を合わせる。
「チームは私を含め4人。
青葉類、中原雪希、高坂蓮」
「ん、」
紗南は私に耳打ちをする。
「その高坂蓮ってうちの生徒?」
「え、う、うん。よく知ってるね」
(私なんて今朝、同じ学校だって
知ったのに)
紗南は声を顰める。
「だってその人、うちの学校で
有名だよ。」
「有名?」
「うん、成績は常にトップで運動神経
抜群。人当たりが良くて、
小さなことも真剣に考えてくれる、
まさに完璧。
今の生徒会長から推薦が出てるんだけどその都度断ってるって。」
(人当たりがいい?小さなことも真剣、
だいぶイメージと違うな)
思いつくのは少女漫画的なことをして
からかっていたり、少しめんどくさがりなところ。
「きっとチームでも完璧なんでしょ?」
(完璧、)
「これ以上は個人情報だから」
「そっか」
私たちの会話を耳にしてよく思わない
人がいるのに気づかなかった。
放課後
「ねえ、日比谷さん。さっき楽しそうに高坂先輩のこと言ってたけど、
あれなに?」
女子数人に囲まれ、私を睨みそう言ったのはクラスのリーダー的存在、
鈴川 花梨(すずかわ かりん)
「あれって?」
「あなたが高坂先輩のことを話していたことよ。」
「話していたって名前だけなんだけど」
「あなたみたいなクラスの端っこにいるような人が簡単に口に出していい存在
じゃないの」
(なにそれ、理不尽。ファンクラブかな)
私は気怠げな表情だったのか、
それとも別で彼女の癪に
触ったのかはわからないが
「なに、へらへらしてるのよ」
乾いた音がした。
「何してんの」
「走らないの?」
「どのみち遅刻だからな。」
通り過ぎる蓮の後を追う。
「まぁそうだけど」
「ただいつも通りに過ごしていただけなのに、怖くて外を出歩くことができなくなる。被害者からしたら溜まったもんじゃないよ。
なのに、手を出した人は悪びれもせず
外を出歩いている。性犯罪だけじゃ
なく、カウンセリングなどを受けるのは傷ついた人ばかり。どう考えたって異常なのは手を染めた方なのに。」
「そう、だね」
(私は女の子のことばかりでそのものを
考えることがなかった。
蓮の話を聞かなかったら
その視点に気づかなかった。
私はとんだ無知だな)
その後は学校で理由を言った私たち。
元々この日は昼休みに全校集会があり
最後に表彰すると言う話が出たが
2人して断った。
(痴漢を助けました。皆さん勇気ある行動に拍手、なんてあの子からしたら傷口を抉るようなものだろうな)
お互いに2時間目から授業に参加した。
数学の時間、その日は自習で
プリントを解いていると、
「ねぇ、どんな感じなの?」
「どんな感じって?」
後ろからコソッと紗南が聞いてきた。
「ソロ?チーム?どんなレッスン
してるの?」
「その話は休み時間の時にね」
「まぁ、そうだね」
紗南は渋々受け入れ再び静かになる。
そして授業終了後。
「えっと、こういうのってペラペラ
喋っていいのかな。」
「名前だけでも、お願い」
私の前で手を合わせる。
「チームは私を含め4人。
青葉類、中原雪希、高坂蓮」
「ん、」
紗南は私に耳打ちをする。
「その高坂蓮ってうちの生徒?」
「え、う、うん。よく知ってるね」
(私なんて今朝、同じ学校だって
知ったのに)
紗南は声を顰める。
「だってその人、うちの学校で
有名だよ。」
「有名?」
「うん、成績は常にトップで運動神経
抜群。人当たりが良くて、
小さなことも真剣に考えてくれる、
まさに完璧。
今の生徒会長から推薦が出てるんだけどその都度断ってるって。」
(人当たりがいい?小さなことも真剣、
だいぶイメージと違うな)
思いつくのは少女漫画的なことをして
からかっていたり、少しめんどくさがりなところ。
「きっとチームでも完璧なんでしょ?」
(完璧、)
「これ以上は個人情報だから」
「そっか」
私たちの会話を耳にしてよく思わない
人がいるのに気づかなかった。
放課後
「ねえ、日比谷さん。さっき楽しそうに高坂先輩のこと言ってたけど、
あれなに?」
女子数人に囲まれ、私を睨みそう言ったのはクラスのリーダー的存在、
鈴川 花梨(すずかわ かりん)
「あれって?」
「あなたが高坂先輩のことを話していたことよ。」
「話していたって名前だけなんだけど」
「あなたみたいなクラスの端っこにいるような人が簡単に口に出していい存在
じゃないの」
(なにそれ、理不尽。ファンクラブかな)
私は気怠げな表情だったのか、
それとも別で彼女の癪に
触ったのかはわからないが
「なに、へらへらしてるのよ」
乾いた音がした。
「何してんの」