虹色のバラが咲く場所は
162話 収穫
お盆期間中に一回、実家に帰った日。
(午後から仕事だから急がないと)
玄関でチャイムを押しても出てくる気配はない。無理だろうな、と思いながら
ドアノブを回すとやっぱり開かなかった
(まぁこれで開いてたら泥棒に入ってくれっていってるもんだし)
(不法侵入に入る、のかな。
実家だけど連絡はしてない、
というか連絡しても見ないだろうし
でも身内だけどどうなるんだろう)
と悶々と考えていると車が入ってきた。
父さんの車だ。
(どうしよう、裏門から出る?
でも、鍵がかかってたら?
とにかく急いで死角に入らないと)
裏門には錠がかかってなかった。
(よかった。このまま裏門から出よう)
身をかがめて静かに行こうといたら
「でも茉里、元気そうでよかったね」
(え、茉里?)
父さんの声にお墓参りかと思った。
でも
「そうね、学校も楽しく通ってくれて
よかったわ。今は夏休みだから目一杯
色々なことをさせたいの」
聞いたことのない
優しい声色の母さんの声
(どういうこと、学校?夏休み?)
思わず足が止まる。
でも父さんのこの一言がしばらく
信じられなかった。
「久しぶりだね、この家に帰るの」
「そうね、4月からだから
5ヶ月振りかな」
「きっと埃だらけだわ」
(5ヶ月?ずっとここじゃない場所に
いたの?それにあの口振り、
やっぱり茉里は・・・)
父さんたちの立ち話に聞き耳を立てる。
「そういえばさっき、え、て言ってたけどどうしたの?」
「サイドミラーに誰か映った気がして。きっと気のせいよ。」
(あっぶな。見られてたのか。)
「蓮からは連絡ないね」
「あー。そういえばそうね。
すっかり忘れてた。でも別にいいわ。
病院みたいに連絡はないから、
他所様に迷惑はかけてないってことで
しょ。」
(忘れてた、か。
・・・なんて言えばいいかな、複雑)
話題を切り上げようと早口になる。
「そんなことより、今は茉里よ。
来年受験だもの。しっかりサポート
してあげないとね」
また優しい声。
(そんなこと、自分の息子なのに
そんなことか)
これ以上聞く気にはなれず
静かに、歩いて裏口から敷地内を出る。
裏道を歩いて、実家を離れる。
(同じ血を分けたのに、なんでこんなに
違うんだろう)
でも確信した。茉里は生きてる。
これだけでも大きな収穫だと思う。
そして、仕事が休みになる前の最後の大仕事。
今日は交通機関を使い、俺たちは大阪へ。
「きつねうどん!」
「串カツ!」
「「粉もの!!」」
「食べ物ばっかり。」
舞と雪希のテンションの上がりように
類は引きながらツッコミを入れる。
「その前にまず公演だよ」
それぞれ大きな荷物はホテルに
送ってある。
夕方に公演があって、
男子部屋には千鶴さん、
女子部屋には杏子さんが泊まり
翌日、少し観光をしてから帰る予定。
体調を万全に整えて公演中。
ステージを見て立ち止まる少女。
思わぬ再開と過去と衝突が始まる。
「お兄ちゃん?」
(午後から仕事だから急がないと)
玄関でチャイムを押しても出てくる気配はない。無理だろうな、と思いながら
ドアノブを回すとやっぱり開かなかった
(まぁこれで開いてたら泥棒に入ってくれっていってるもんだし)
(不法侵入に入る、のかな。
実家だけど連絡はしてない、
というか連絡しても見ないだろうし
でも身内だけどどうなるんだろう)
と悶々と考えていると車が入ってきた。
父さんの車だ。
(どうしよう、裏門から出る?
でも、鍵がかかってたら?
とにかく急いで死角に入らないと)
裏門には錠がかかってなかった。
(よかった。このまま裏門から出よう)
身をかがめて静かに行こうといたら
「でも茉里、元気そうでよかったね」
(え、茉里?)
父さんの声にお墓参りかと思った。
でも
「そうね、学校も楽しく通ってくれて
よかったわ。今は夏休みだから目一杯
色々なことをさせたいの」
聞いたことのない
優しい声色の母さんの声
(どういうこと、学校?夏休み?)
思わず足が止まる。
でも父さんのこの一言がしばらく
信じられなかった。
「久しぶりだね、この家に帰るの」
「そうね、4月からだから
5ヶ月振りかな」
「きっと埃だらけだわ」
(5ヶ月?ずっとここじゃない場所に
いたの?それにあの口振り、
やっぱり茉里は・・・)
父さんたちの立ち話に聞き耳を立てる。
「そういえばさっき、え、て言ってたけどどうしたの?」
「サイドミラーに誰か映った気がして。きっと気のせいよ。」
(あっぶな。見られてたのか。)
「蓮からは連絡ないね」
「あー。そういえばそうね。
すっかり忘れてた。でも別にいいわ。
病院みたいに連絡はないから、
他所様に迷惑はかけてないってことで
しょ。」
(忘れてた、か。
・・・なんて言えばいいかな、複雑)
話題を切り上げようと早口になる。
「そんなことより、今は茉里よ。
来年受験だもの。しっかりサポート
してあげないとね」
また優しい声。
(そんなこと、自分の息子なのに
そんなことか)
これ以上聞く気にはなれず
静かに、歩いて裏口から敷地内を出る。
裏道を歩いて、実家を離れる。
(同じ血を分けたのに、なんでこんなに
違うんだろう)
でも確信した。茉里は生きてる。
これだけでも大きな収穫だと思う。
そして、仕事が休みになる前の最後の大仕事。
今日は交通機関を使い、俺たちは大阪へ。
「きつねうどん!」
「串カツ!」
「「粉もの!!」」
「食べ物ばっかり。」
舞と雪希のテンションの上がりように
類は引きながらツッコミを入れる。
「その前にまず公演だよ」
それぞれ大きな荷物はホテルに
送ってある。
夕方に公演があって、
男子部屋には千鶴さん、
女子部屋には杏子さんが泊まり
翌日、少し観光をしてから帰る予定。
体調を万全に整えて公演中。
ステージを見て立ち止まる少女。
思わぬ再開と過去と衝突が始まる。
「お兄ちゃん?」