虹色のバラが咲く場所は
166話 今まで
新しい学校でも友達ができた。
家に帰ればおばあちゃん、
両親が迎えてくれて。
充実してるはずなのに、心の暗雲は
消えない。
運動会も合宿コンクールも
みんな来てくれた。
お弁当を食べたり、親子競技でリレー
したり、楽しかった。
何をしていても、もしお兄ちゃんが
いたらもっと楽しいだろうな、
そればかり考えていた。
私が中学に進学してから、
こんな話を聞いた。
「都会で私達とあまり歳が変わらない
アイドルグループがある」
と。
アイドルグループなんていくらでも
あると思って気にも留めなかった。
友達の推しはRainbow Roseという
アイドルグループのゆきくんらしい。
とても可愛い男の子。
黄緑担当と聞いて調べたら女の子にしか
見えなかった、でもちゃんと本人の
口から性別と見た目について話した動画の切り抜きが載っていた。
自分の在り方について臆せずはっきり
言う姿に私は彼の態度に感銘を受けた。
だがそれだけでアイドルグループに
興味が湧いたわけではない。
そして先日、
友達に一人で大阪まで行くの怖いから
ついてきてと、半分強制で旅行へ。
なんとか大阪に観光に行く事を
両親、おばあちゃんに説き伏せた。
友達と初めての遠出。
恐怖半分、好奇心半分で大阪へ。
「見て、あそこにいるのが雪希くん」
はしゃいで指さす友達を宥め、
ステージを見る。
自己紹介の時にはっきりと聞こえた
「緋色担当、蓮です」
低くなっていた声、
伸びた身長、鮮やかな衣装、
でも、お兄ちゃんだとはっきりわかった
(お母さん達はなんであんなこと
言ったの?引っ越し、転校までして。
・・・接触させたくなかったから?
ならこの状況、お母さん達にバレたら
まずいんじゃ)
友達のスマホを借りてネットで色々と
調べた。調べればあっさり色々と出てきてちょっとプライバシーが心配になる。
お兄ちゃんのプロフィール画面、
川桜学園卒業、梅原高校入学、
大阪からおばあちゃんの家に帰って、
手紙を書き、創立記念日で学校が
休みの時にお母さんを梅原高校の
近くにあるブランドショップに連れて
行ってと駄々をこねて、
ショップへ。
もちろんブランドに私は興味なく、
お母さんが色々見てる間にこっそり
お店を出て、高校から出てきた人に
手紙を渡した。
「ということなの。お兄ちゃん」
お兄ちゃんの顔は嫌悪なのか憎悪なのか
わからないが怖かった。
「ごめんなさい、お兄ちゃん」
頭を下げるとお兄ちゃんは慌てた。
「知らなかったとはいえ、私があの家にいた間、ずっとお兄ちゃんを
苦しめてた。私は何も気づかなくて、
私を憎みたくなるのも分かるよ。
憎まれて当然だよ」
「ま、茉里、頭をあげてよ。
今は全然気にしてないから」
「でも」
「茉里、俺はね、仲間に会えたんだ。
誰かに認められたい、そんな気持ちが
俺を変えてくれた。仲間に合わせてくれた。知らない世界、知らない情報、
まだまだ勉強中だけど今が楽しいって
胸を張って言える。
あの人達に認められる事よりも
それ以上に価値のあるものをたくさん
見つけた。その点はあの人達に
感謝してるんだ。見てくれなかったから承認欲求が高まってアイドルになった
からね」
お兄ちゃんの声はとても穏やかで
優しい顔をしていた。
「でも」
急に一段声が低くなる。
「俺にも、茉里にもトラウマを植え付けた。あの人たちは絶対に許さない。
だから、茉里。協力してくれる?」
笑顔だけど、はい以外の答えは許さないと圧を感じる。
「・・・はい」
家に帰ればおばあちゃん、
両親が迎えてくれて。
充実してるはずなのに、心の暗雲は
消えない。
運動会も合宿コンクールも
みんな来てくれた。
お弁当を食べたり、親子競技でリレー
したり、楽しかった。
何をしていても、もしお兄ちゃんが
いたらもっと楽しいだろうな、
そればかり考えていた。
私が中学に進学してから、
こんな話を聞いた。
「都会で私達とあまり歳が変わらない
アイドルグループがある」
と。
アイドルグループなんていくらでも
あると思って気にも留めなかった。
友達の推しはRainbow Roseという
アイドルグループのゆきくんらしい。
とても可愛い男の子。
黄緑担当と聞いて調べたら女の子にしか
見えなかった、でもちゃんと本人の
口から性別と見た目について話した動画の切り抜きが載っていた。
自分の在り方について臆せずはっきり
言う姿に私は彼の態度に感銘を受けた。
だがそれだけでアイドルグループに
興味が湧いたわけではない。
そして先日、
友達に一人で大阪まで行くの怖いから
ついてきてと、半分強制で旅行へ。
なんとか大阪に観光に行く事を
両親、おばあちゃんに説き伏せた。
友達と初めての遠出。
恐怖半分、好奇心半分で大阪へ。
「見て、あそこにいるのが雪希くん」
はしゃいで指さす友達を宥め、
ステージを見る。
自己紹介の時にはっきりと聞こえた
「緋色担当、蓮です」
低くなっていた声、
伸びた身長、鮮やかな衣装、
でも、お兄ちゃんだとはっきりわかった
(お母さん達はなんであんなこと
言ったの?引っ越し、転校までして。
・・・接触させたくなかったから?
ならこの状況、お母さん達にバレたら
まずいんじゃ)
友達のスマホを借りてネットで色々と
調べた。調べればあっさり色々と出てきてちょっとプライバシーが心配になる。
お兄ちゃんのプロフィール画面、
川桜学園卒業、梅原高校入学、
大阪からおばあちゃんの家に帰って、
手紙を書き、創立記念日で学校が
休みの時にお母さんを梅原高校の
近くにあるブランドショップに連れて
行ってと駄々をこねて、
ショップへ。
もちろんブランドに私は興味なく、
お母さんが色々見てる間にこっそり
お店を出て、高校から出てきた人に
手紙を渡した。
「ということなの。お兄ちゃん」
お兄ちゃんの顔は嫌悪なのか憎悪なのか
わからないが怖かった。
「ごめんなさい、お兄ちゃん」
頭を下げるとお兄ちゃんは慌てた。
「知らなかったとはいえ、私があの家にいた間、ずっとお兄ちゃんを
苦しめてた。私は何も気づかなくて、
私を憎みたくなるのも分かるよ。
憎まれて当然だよ」
「ま、茉里、頭をあげてよ。
今は全然気にしてないから」
「でも」
「茉里、俺はね、仲間に会えたんだ。
誰かに認められたい、そんな気持ちが
俺を変えてくれた。仲間に合わせてくれた。知らない世界、知らない情報、
まだまだ勉強中だけど今が楽しいって
胸を張って言える。
あの人達に認められる事よりも
それ以上に価値のあるものをたくさん
見つけた。その点はあの人達に
感謝してるんだ。見てくれなかったから承認欲求が高まってアイドルになった
からね」
お兄ちゃんの声はとても穏やかで
優しい顔をしていた。
「でも」
急に一段声が低くなる。
「俺にも、茉里にもトラウマを植え付けた。あの人たちは絶対に許さない。
だから、茉里。協力してくれる?」
笑顔だけど、はい以外の答えは許さないと圧を感じる。
「・・・はい」